注文の9割はウナギの名店 だけど「コイ料理をPRしたい」

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河合博司
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 茨城は養殖コイの収穫量が全国一だ。ほとんどが霞ケ浦(北浦を含む)で養殖されている。江戸時代の将軍も好んで食べたと伝わるコイ料理。その味を確かめてみたくなった。

 霞ケ浦から流れ出る常陸利根川のそばにある1774年創業の「割烹(かっぽう)清水屋」(潮来市永山)を訪ねた。歯ごたえが絶妙の「あらい」や、しょうゆと砂糖で甘辛く煮る「うま煮」といったコイ料理が年中食べられる。

 上皇ご夫妻にウナギのかば焼きを献上したり、俳優の森繁久彌三船敏郎が訪れたりした名店だ。

 9代目店長のヒューストン直子さん(44)は米国で暮らした後、実家を継いだ。「霞ケ浦周辺では、盆暮れ正月や七五三の集まりにコイのうま煮は欠かせない一品」と話す。

 迷わず人気メニューのあらいとうま煮を注文し、料理長の根本和之さん(43)が調理する様子を見学させてもらった。

 あらいは、身を7ミリの薄切りにする。しっぽに近い部分は身が硬いので5ミリに。刻んだ身は、50度の湯で2分ほど、もみ洗いする。直後に氷水に入れた。根本さんの両手が赤くなる。「最適の弾力と質感を引き出す大切な作業です」

 おろしニンニクとショウガ入りのしょうゆと、酢みそを交互に付け、味わった。「あっさり」が第一印象で、ビールのつまみに頼む人が多いという。

 次にうま煮を口に運ぶ。厚さ約3センチ、腹の部分を輪切りにした身に、内臓や卵巣も添えてある。多めのザラメ砂糖と酒を加え、甘辛くしょうゆ味で煮つけられている。脂の乗った腹の身の何とおいしいこと。直子さんは「まろやかでやさしい脂、とでも言いましょうか」と教えてくれた。

 背中付近に小骨は多い。Y字形の骨も出てきた。「俺はコイだぞ」という主張を反芻(はんすう)しながら、ゆっくり食べた。

 清水屋では注文の9割はウナギ料理で、コイは1割に満たないという。直子さんは「コイ料理をPRしたくて、あらいやフライの試食を時々出しています」。

 霞ケ浦でコイの養殖が始まっ…

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