ロシアの弱体化は「最悪のシナリオ」 インドが恐れる戦争後の世界

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 ロシアによるウクライナ侵攻後、独自の立場をとり続けているのがインドだ。日本や米国との関係を強化しようとする一方で、欧米による対ロシア制裁には参加せず、侵攻後にロシア産原油の購入も増やしている。インド外交や南アジアの国際関係を研究する防衛大学校の伊藤融(とおる)教授は、「インドにとって、ロシアの弱体化は最悪のシナリオ。インドが対ロシア制裁に参加する可能性は極めてゼロに近い」と言う。その理由を聞いた。

 ――9月16日にインドのモディ首相はロシアのプーチン大統領と会談し、「今は戦争の時代ではない」と苦言を呈しました。インドはこれまで、ウクライナ情勢でロシアを名指しして批判してきませんでした。立場が変わったのでしょうか?

 基本的には変わっていないでしょう。その発言一つとって、インドの姿勢が転換したと捉えるのは、かなり曲解ではないかと思います。そもそも、インドがロシアを擁護しているというような見方自体も間違っています。ロシアの侵攻を非難する国連の採決で棄権し、西側諸国の制裁に加わってないという点を見れば中立です。

 ロシアに対する苦言は、侵攻当初からしています。当時のインドの国連大使は棄権した際に、「対話が、相違や紛争を解決するための唯一の答えだ」「外交の道をあきらめたのは遺憾だ」と述べ、話し合いの場に戻るよう要請する声明を出しています。これは、モディ氏がプーチン氏に言ったことと大して変わりません。「ロシア離れ」を求める西側諸国の圧力に屈したとも言えません。

 一方で、「今は戦争の時代ではない」というモディ氏の発言は、「インドはロシア寄り」という西側諸国のイメージを、少しでも払拭(ふっしょく)するという狙いがあったとは言えます。だから、メディアがいる場で、意図的にあのような発言をしたのではないかと思います。

 ――インドはロシアから武器の約半分を購入しているから、強く批判できないという見方もあります。

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    服部倫卓
    (北海道大学教授=ロシア・東欧)
    2022年9月26日14時35分 投稿
    【視点】

    主に経済面から見ている私も、伊藤教授の見方に賛成である。インドをG7の主導する西側陣営に引き入れ、対ロシア制裁に加わってもらうことは不可能に近いが、かといってインドが積極的にロシアを支援しているわけでもないと見る。 侵攻後、ロシアの石油は