島の動物、横浜発の土産で守れ 奄美・沖縄の保護団体へ収益一部寄付

進藤健一
[PR]

 【神奈川】世界自然遺産奄美大島徳之島、沖縄北部(やんばる地区)で、「地域の自然を守るタオル」が土産物として人気を集めている。仕掛け人は、日本野鳥の会神奈川支部幹事の樋口公平さん(57)。ヤンバルクイナやアマミノクロウサギなど希少な野生動物の刺繡(ししゅう)が入ったオーガニックコットンのタオルで、売り上げの一部が地元の自然保護団体に寄付されている。

 横浜市神奈川区で「太平電機」を営む樋口さんは、渡り鳥タゲリが飛来する湘南地区の田んぼを守ろうと活動する茅ケ崎市の市民グループ「三翠(さんすい)会」のプロジェクトリーダーの顔も持つ。米を「湘南タゲリ米」と名付けて市価より高く買い上げ、耕作放棄などを防ぐ取り組みを続けている。

 鹿児島県の奄美大島には、これまでに50回近く訪問。オオトラツグミやルリカケス、アカヒゲといった国の天然記念物のバードウォッチングやシマ唄を楽しむためで、奄美観光大使にも任命されている。「島の希少な動物を守る手助けができれば」と4年前に「ECOひいきプロジェクト」を立ち上げ、手軽な土産物にもぴったりなハンドタオルの制作・販売を始めた。

 タオルは縦横24センチ。奄美大島、徳之島、沖縄の野生動物を刺繡した草木染の今治タオル(認定マーク付き)。刺繡のデザインは絵本作家やイラストレーターとして活躍する東郷なりささんが手がける。

 夜に産卵のために砂浜に上陸するアオウミガメの足跡は左右対称に、一方でアカウミガメの足跡は左右交互に表現するなど、生態に詳しい樋口さんと東郷さんコンビならではのこだわりも。マニアからは「珍しい動物が正確に、それでいて愛らしく表現されている」と評判も上々のようだ。

 「希少な動物の生態やどんな状況に置かれているのかも知って欲しい」と、タオルには動物ごとに「交通事故や外来種(マングース、ノイヌ、ノネコ)による捕食で絶滅の恐れが――」(アマミノクロウサギ)といったミニ解説も付いている。

 タオルは計13種。1枚990円(税込み)で、このうち100円が地元の自然保護団体に寄付される。初年度は約3千枚を出荷したが、人気は年々上昇し、前年度は年間約1万3千枚を売り上げた。これまでに13の自然保護団体に約230万円を寄付することができたという。包装作業も地元の障害者就労支援施設などに頼んでいる。

 「島の自然を楽しんだ人が、野生動物の保護のためにお金を落とす仕組みをつくりたかった。販売するお店や動物保護のために尽力する団体を『えこひいき』して『エコなタオル』を手にとってもらえれば」と樋口さん。

 沖縄県国頭村ふるさと納税返礼品にも選ばれ、沖縄に拠点を置く日本トランスオーシャン航空(JTA)でも機内販売されている。

 地元の空港やホテル、土産物店などで販売されているが、太平電機(045・322・5055)からも郵送料別で購入できる。(進藤健一)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

春トク_2カ月間無料