その大学生の女性は、企業のブースに居残って採用担当者に質問を何度も繰り返していた。1コマ30分の時間を超え、次のブースへの移動時間にさしかかっていた。
2019年2月、関東地方の大学。数十社の企業が集まった合同説明会が開かれた。
その一角。大学3年で21歳だったアヤカさん=仮名=は、次に順番を待つ学生の姿が目に入らないほど熱中して、自分の聞きたいことをしゃべり続けた。その様子に驚いた企業側から、大学側に連絡が入ったほどだった。
大学で就職支援を担当する職員は、アヤカさんにスケジュール帳を見せられて驚いた。
「インターンの予定を入れました」と両手で開いた手帳。2~3月の欄は、短期インターンの予定でびっしりだった。アヤカさんが参加した短期インターンは30社以上。職員は「うちの大半の学生が参加するのは5~6社程度。(アヤカさんは)多すぎてびっくりした」と振り返る。
アヤカさんには発達障害があった。
就活でぶつかった壁
しかし、本人はそのことを知…
- 【視点】
発達障がいのある子どもたちにとって、学校での学びが一つ目の壁。そこを乗り越えると、進学の壁がやってきます。ここまでの環境整備は少しずつ進みつつありますが、その先に就職という大きな壁が立ちはだかります。 発達障がいを含めて、障がいのある