第3回旧統一教会問題は「パンドラの箱」 岸田首相が見誤った国葬への反発

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楢崎貴司
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国葬の代償(第3回) 暗転

 「いまそういうことを言うなら『非国民扱い』される」

 首相の岸田文雄が国葬を表明した7月14日、自民党のベテランは、国葬に異論を挟みづらい世の中の雰囲気をそう表現した。国葬表明直後の報道各社の世論調査では、国葬への賛意が反対を上回っていた。

連載「国葬の代償」(全5回)はこちら

安倍晋三元首相の国葬が執り行われました。しかし、世論の賛否は割れたままで、内閣支持率も急落。岸田文雄首相は代償を払うことになりました。舞台裏で何が起きていたのか。5回にわたってお伝えします。

 批判はあった。ただ、その中心は、8年8カ月にわたり首相を務めた安倍晋三の評価が定まっていないことや、閣議決定のみで決めた経緯、法的根拠の弱さなどだった。「丁寧な説明」をすれば、批判はこれ以上広がらない、との見通しが政権を支配していた。

 野党の立場も割れていた。決定当初から明確な反対を掲げたのは共産党社民党など少数で、日本維新の会国民民主党は一定の理解を示していた。

見誤った世論の流れ

 野党第1党の立憲民主党は国葬への立場をはっきりと示せずにいた。7月16日、奈良市内の銃撃現場で手を合わせた立憲代表の泉健太は、「政府が関与する形の送り方は否定しない」と記者団に語った。

 「国民から国葬にすることについて、『いかがなものか』という指摘があると認識していない」

 7月19日、自民党の実権を握る幹事長の茂木敏充は記者会見でこう述べ、さらに続けた。

 「野党の主張は国民の声や認識とはかなりずれているのではないか」

 政権幹部は「どちらが正しいとか議論しない方がいい。議論すること自体が失礼だ」。7月22日には粛々と閣議決定を終えた。国民の支持を受けた国葬への批判は、野党にとってはむしろマイナス――。そう考えた首相周辺はこううそぶいた。「野党はもっと批判して(自分たちの)支持率を落としてくれたらいい」

 銃撃事件発生当初、注目が集まったのは、犯行の手口や警察の警備の問題だった。

 だが、次第に焦点は「動機」へと移り、「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」がクローズアップされた。逮捕された容疑者の供述などをきっかけに、教団と安倍、教団と自民党の関係の深さが白日の下にさらされ始めた。

 「パンドラの箱」が、開いた…

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