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ノーベル化学賞は「生化学」が有力か mRNAワクチンや光合成研究

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小宮山亮磨
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 今年のノーベル賞の発表が10月3日から始まる。自然科学の分野では、初日が医学生理学賞、4日が物理学賞、5日が化学賞。化学賞で有力視されている研究の一端を紹介する。

 近年の化学賞では、生命現象を化学の観点から研究する「生化学」の分野の受賞が最も多い。21世紀に入って以降、12回が生化学に与えられている。有機化学は5回で次に多いが、昨年の受賞分野。受賞から次の受賞には一定の間隔が空くことが多いため、今年は生化学が特に有力だとみられる。

 医学生理学賞の候補とされている「mRNAワクチン」は、化学賞の候補でもある。新型コロナウイルス対策に応用できたのは、生化学の成果ととらえることもできるためだ。

 mRNAはそのままの状態で細胞内に入ると、すぐに分解されてしまう。「キャップ」と言われる化学物質をくっつけて保護する仕組みによって、ワクチンとして使えるようになった。

 2020年に化学賞を受けた「CRISPR(クリスパー)/Cas9(キャスナイン)」と呼ばれるゲノム編集の技術も、医学生理学賞の有力候補とされていた。生化学の発展により、二つの賞の区分けはあいまいになってきている。

 生化学ではこのほか、「オプトジェネティクス(光遺伝学)」と呼ばれる技術を開発した米国のカール・ダイセロス氏らが有力だ。遺伝子操作を施した細胞の働きを光で操るもので、脳科学で広く活用されている。

国内研究者にも評価

 国内では、植物の光合成に関…

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