台風で崩れた橋、孤立の集落「まず道を」 住民が見せたスピード復旧

阿久沢悦子
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 台風15号による記録的な大雨に見舞われた静岡県内では集落の孤立状態が発生した。その中には、わずか1日のスピードで、しかも自力で復旧を成し遂げたケースもあった。

 一時孤立したのは、静岡県島田市川根町笹間地区(153世帯、288人)。高齢化率は約6割でお年寄りが多い。9月23日夜から24日早朝にかけて一帯の連続雨量は500ミリを超えた。

 「こりゃひどい」

 自治会長の元川寛治さん(70)は24日昼、地区内の見回りで道路が寸断されているのを知った。

 笹間地区は静岡市藤枝市との境にある。両市に抜ける道路は複数箇所の土砂崩れで不通。頼みの綱の島田市街に抜ける道路も、笹間川にかかる日向上(ひなたかみ)橋のたもとが大きく崩れ、通れなくなっていた。

 このままでは集落から出られない。地区内は停電や断水がある。携帯電話も基地局が被害を受け、通じにくくなっていた。

 元川さんは集落の役員に呼びかけた。「業者が通れる道をまず造らなきゃ、復旧がいつになるかわからんよ」

 ただ、「ラッキー」も重なった。地元の建設業者「大井建設」の重機が笹間川の集落側の河川敷に駐車していた。さらに茶樹の抜根などに使うため元川さんらが個人で所有していた重機もあった。

 孤立した集落内に重機が計5台。元川さんは「これで、なんとかなるのでは」と考えた。

30人が自発的に集まる

 25日午前8時。地区内の60~70代の男性約30人が自発的に集まった。

 大井建設が川根温泉近くの土砂崩れで生じた土砂を撤去して、4トンダンプで集落の入り口まで運び入れる。その土砂を、市や県の土木事務所から提供された袋に入れ、住民が土囊(どのう)を作り、河川敷に積み上げた。

 一方、崩落現場ではガードレールを撤去したのち、道路から河川敷までのスロープを造り、盛り土が運び込まれるたび、重機で踏み固めた。役割分担して作業を進め、同日午後4時に復旧させた。

 市によると、午後6時に「応急処置で、安全に注意してなら通行可能になった」と報告があった。

 連休明けの26日朝には日向上橋を渡って、通勤、通学する人の姿が見られた。山から引いた簡易水道も住民が自力で応急復旧したという。

 作業の一部始終は地元のガソリンスタンド勤務、種本高士さん(43)が動画撮影した。「3日ぐらいかかると思っていたので、スピード感に驚いた」。動画はYouTube(https://youtu.be/vNHEpVAN-Xg別ウインドウで開きます)で公開している。(阿久沢悦子)

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 〈おことわり〉当初配信した記事の「日向橋」は「日向上橋」の誤りでした。記事を修正しました。