中銀による超金融緩和、効果と限界の見極めを 中曽宏さんに聞く

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聞き手 編集委員・原真人
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 リーマン、ギリシャ、コロナ、ウクライナ。今世紀に入ってからだけでも世界経済を揺さぶるような危機が数年に1度起きている。そのたびに各国の政府・中央銀行は大規模な対策でしのいできたのだが、本質的な意味で問題解決ができたのだろうか。内外の危機対応を日銀で長く指揮してきた中曽宏さんに聞いた。

 ――ウクライナ侵攻への制裁で米国はロシアを国際金融ネットワークから締め出しました。金融インフラの「武器化」は世界経済の安定に禍根を残しませんか。

 「ドルという基軸通貨を対外決済に用いるためのインフラは世界中の企業が利用できる一種の公共財です。アクセスを遮断すれば、ロシアは制裁に対抗して外貨準備のドル比率をますます減らすだろうし、中国も人民元を決済通貨にするシステム作りに磨きをかけるでしょう。制裁が長期化すれば、この動きを促し世界経済の分断を助長してしまう恐れがあります」

 「最近、国際会議でアジア企業の経営者たちから直接、懸念の声を聞く機会がありました。制裁の意義は理解しつつも、このままでは、生産体制をこれまでのジャスト・イン・タイム(在庫ゼロ)からジャスト・イン・ケース(万一に備える)に移行せざるをえない、と言うのです。原材料調達から販売に至るサプライチェーンなどの二重投資が必要になり、物価にも上昇圧力がかかるかもしれません」

 ――主要国が分断されたまま次の経済危機を迎えたとき、協調体制を築けるでしょうか。

 「起きていることは民主主義…

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    明石順平
    (弁護士・ブラック企業被害対策弁護団)
    2022年9月29日23時18分 投稿
    【視点】

    2021年までの日本とアメリカのマネタリーベース対GDP比を見てみると、アメリカは2021年時点で27.9%だが、日本は122.4%であり、全く比較にならない。 マネタリーベースが自国のGDPを20%以上も上回っているのは世界で日本だ