令和によみがえる官能作家 宇能鴻一郎さん 原点は「飢え」の記憶

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山崎聡
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 1970年代に官能小説で一時代を築いた作家、宇能鴻一郎さん(88)の再評価が進んでいる。クジラとの格闘を描き芥川賞を受賞した「鯨神(くじらがみ)」など、過去作を収めた『姫君を喰(く)う話』(新潮文庫)が昨年出版され、今年2月にはエッセー集『味な旅 舌の旅』(中公文庫)が復刊。さらに8月、埋もれた短編に光を当てる『甘美な牢獄』〈烏有(うゆう)書林〉が刊行された。

 うの・こういちろう 1934年札幌市生まれ。本名は鵜野広澄(ひろずみ)。東京大学大学院に在学中の1961年、同人誌に載せた「光りの飢え」が文学界に転載され、芥川賞候補に。次作の「鯨神」で翌62年、芥川賞を受賞した。71年から徐々に官能小説に軸足を移し、日活ロマンポルノに多くの原作を提供した。

 横浜市の高台に城のような洋館が立つ。宇能さんの自宅だ。600坪余りの敷地は草木に覆われ、玄関には暖炉の薪(まき)であろう丸太が積まれている。

 扉が開き、この館を自ら設計したという作家本人が出迎えてくれた。案内されたのは、グランドピアノが置かれた豪華なボールルーム。いまも月に1度は十数人の男女を招き、社交ダンスのパーティーを催しているという。

 「新しく本が出たら、女性か…

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