無口な男性がつぶやいた「女装したい」 怒りがこみ上げた女性の決意

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大滝哲彰
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 薄暗いカラオケボックスの一室に、無口な男性が入ってきた。20歳前後だろうか。

 出迎えた井上今里(いまり)さん(32)は緊張で体が固まっていた。

 友人に頼まれたことがきっかけで、趣味として始めたのが「女装メイク」だった。モデルを募集するSNSの投稿を見て、その男性は応募してきた。

 それまで応募してきた人たちは気さくな人ばかりで、メイクした姿を見て喜んでくれた。だからこそ、無表情の男性と接するのは怖かった。

 いつも以上に素早くメイクを施した。片付けをしようとしていた時、女装姿の男性が震えながら口を開いた。

 「僕は……。今までずっと両親にも兄弟にも内緒で女装をしてきました」

 そう切り出した男性の言葉は止まらなくなった。

 「いつも1人でビジネスホテルを借りて女装をしていた。自分は頭おかしいんじゃないかって悩んでいました」「どうしても女装をしたいという気持ちが抑えられないんです」

 話しながら寂しそうな表情を浮かべる男性が、社会から孤立して生きているように見えた。

 忘れていた自分の過去を思い出した。

 外見へのコンプレックスを隠…

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    若新雄純
    (プロデューサー・慶応大特任准教授)
    2022年9月29日15時8分 投稿
    【視点】

    みんな、顔じゃなく人生に化粧している。

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