「要支援」の大学3年生 「キャリア設計に迷い」抱え、相談が殺到

村上友里
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 コロナ禍が始まった2020年に大学に入った現在の大学3年生が最も心配だ――。学生の支援にあたる教員らはこう指摘する。孤立した20年入学の元大学生が空き家に放火する事件も起きた。学生らに必要な支援とは。

 東京地裁は9月22日、非現住建造物等放火の罪に問われた元大学生の男(21)に対し、懲役2年6カ月執行猶予4年の判決を言い渡した。男は公判で事件の背景に孤立した大学生活があったと語った。

 若者からの相談に匿名のチャットで応じるNPO法人「あなたのいばしょ」などが今年2月、20歳以上の3千人を対象に実施した調査では、若い世代ほど孤独を感じる人が多い傾向が浮かんだ。

オンライン授業で涙

 全体の平均が37・3%という中、20代は42・7%が孤独を感じていた。最も低かったのは60代以上で23・7%だった。

 「頼りたくても頼れない。話したくても話せない。コロナ禍でこうした孤独状態に置かれた若者が多い」。同法人理事長の大空幸星(こうき)さんは指摘する。

 匿名のチャット相談には、大学生から「友達をつくれないし、実家にも戻れないので頼れる人がいない」「オンライン授業でパソコンを見ていると自然に涙が出る」などといった相談が寄せられている。

 大空さんは「様々な悩みが重層的になっている。悩みを相談できるところがあれば重症化しない」と、気軽にチャットなどで相談できる場所の重要性を強調する。

 「心の奥にある重苦しい気持ちを言葉にするだけでホッとすることもある。24時間、相談を待っているので気持ちを聞かせてほしい」

 大学側も大学生のSOSを受け止め、支えようと取り組んでいる。

 東京工業大の保健管理センターは、学生からの相談を対面や電話、オンラインで受け付けており、対応が追いつかないほどの相談が寄せられているという。

 同センターでカウンセリングを担当する斎藤憲司教授(臨床心理学)はコロナ禍の大学生について「思い描いていたキャンパスライフと違うことへの戸惑いや、将来が見通せず、キャリア設計に迷いを抱える学生が多い」と感じている。

 特に「要支援層」なのが現在の大学3年生。大学入学時からコロナ禍に見舞われてオンライン授業が中心となり、サークル活動やアルバイトも厳しく制限されたため、新たな人間関係を形成し、地域や社会を体験的に学ぶ大学生活の土台づくりの時期が希薄だったと指摘する。

おせっかいなほどより添いを

 現在も「友達が全然できない」という3年生もいるという。

 全国大学生活協同組合連合会が今年7月に実施した学生アンケートでも、「学生生活は充実しているか」の問いに、「充実していない」と回答した3年生が23・9%となり、他の学年に比べて最も高かった。

 斎藤教授は教職員に対し、学生とこまやかにコミュニケーションをとるようお願いしているという。

 「休みがちな学生や不適応気味な学生にもおせっかいなくらいに話しかけるなどして寄り添い、大学全体として誰かが学生につながっている環境をつくる必要がある」と話している。(村上友里)