「世界一厳しい」カルト規制 それでも…信者を訪ねて見えた課題

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フランス南東部カステラーヌ=宋光祐
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 反社会的な行為が問題となった宗教団体にどう対応するべきか。安倍晋三元首相の銃撃事件をめぐり、「セクト(カルト)規制法」の整備など先進事例として紹介されるフランスだが、現地の関係者の間ではある懸念が高まっていた。

 南仏のリゾート地ニースから車で2時間。岩肌のむき出しになったアルプスの峰を縫うように進むと、キリストや大仏に似た金色の巨大な立像が標高1200メートルの山の斜面に姿を現した。宗教団体「マンダローム」の本拠地だ。

 教祖による暴行や経済的な搾取が1990年代に社会問題になった。95年に国民議会がまとめた報告書では2千人の信者がいたとされる。報告書に合わせて作られ、2005年に撤回された173のカルト教団のリストの中にも旧統一教会などと並んで名前を挙げられていた。

 教祖だった男性は98年に病死し、2001年には違法建築として最高裁が解体を命じた30メートル超の教祖の立像がフランス軍によって破壊された。選挙での協力を求めた地元の政治家が教団と癒着して建築を違法に認めていたことも問題になった。

 90年代に世界各地で相次いだカルト教団による事件の一つとして、マンダロームをめぐる一連の騒動は、フランスが01年5月に「世界で最も厳しい」とされるカルト規制法を制定するきっかけの一つになった。

 それから20年。教団の本拠地では今も十数人の信者が集団生活を続けており、週末の一般見学では観光客らが訪れる。本拠地から約1キロ離れた集落に住むサンドリヌ・ギニさん(49)は「一時は大騒ぎだったけど、今はクリスマスの時に歌声が聞こえるくらいで、信者と道で出会うこともほとんどなくなった」と話す。

 今月4日午後に一般の観光客として見学に訪れると、約30人が集まっていた。鉄の門で閉じられた入り口脇にチケット売り場があり、真ん中に金色の星飾りをあしらったえんじ色のはちまき姿の女性が迎えてくれた。入場料は5ユーロ(約700円)。約30年前から信者として暮らしているという。

 敷地の中では男性の信者が案…

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