マンション「棟別会計」の落とし穴 修繕積立金残高に20倍超の格差

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森本美紀
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 「各棟の修繕積立金の残高に極端な格差が生まれ、住民の分断にもなりかねません。どうすればいいのか」

 男性は70代。関西地方にある築40年余りの団地型マンションに暮らして40年ほどになる。敷地内には約30棟が立ち並び、現在、あちこちで大規模修繕の工事が進む。

 発端は5年ほど前だ。今回の大規模修繕に向けて計画をたてるにあたり、管理組合が修繕積立金の会計を見直し、「棟別会計」を採用した。

 竣工(しゅんこう)以来、全棟の会計を一括して管理してきたが、国土交通省が団地型マンション向けの指針として示している標準管理規約を参考に、規約を改めた。団地型の増加を受けて1997年に策定されたもので、団地全体のための修繕積立金と、棟ごとの修繕積立金をそれぞれ積み立て、区分経理しなければならない、と記している。

 積立金額は、契約しているマンション管理士が、従来の月7千円をベースに、各棟の外壁などの共用部分と集会室などマンション全体の共用部分の面積や工事費に応じて算出した。団地の積立金と棟ごとの積立金との合計額は、棟によって1戸当たり月約6800~約7300円。男性が住む棟の場合は月7千円ほどで、このうち棟ごとの積立金は約6千円だ。

棟ごとに違う構造、震災…「合理的」だったが

 「棟別会計は合理的と思いました」。男性は当時、組合の説明に納得したという。

 3年ほどの間に順次完成した約30棟は、共用部分の踊り場の広さや天窓の有無、外壁の素材などが棟ごとに違う。耐震性に不安がある棟もある。高経年化で排水管が劣化し、水漏れ事故も一部の棟で起きている。

 震災などがあれば、被害の程度に違いが出るのも容易に想像できた。95年の阪神・淡路大震災では、知人が住んでいた団地型マンションで、一括会計で管理していた積立金を、被害が大きかった一部の棟の修繕に使うことに反対の声が出て、修繕が進まなかったという話も聞いていた。棟ごとに積み立てておけば、そんな心配もなくなる。

 「南海トラフ地震が起きるといわれていますし、もし自分の棟が被害を受けて、ほかの棟が修繕に賛成してくれなかったら困りますから」

 棟別会計の採用から3年ほど…

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