20箱買う人も…ビール値上げ直前で駆け込み需要、メーカーは出荷増

山下裕志
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 来月1日に控えたビールの値上げ。大手メーカーの缶ビールでは14年ぶりの価格アップに、小売店は少しでも安いうちに買い求めようとする客でにぎわう。メーカーも今月は製造を増やして迎え撃つ。

 26日午後、東京都大田区の商店街の一角にあるディスカウントストア、MEGAドン・キホーテ大森山王店。平日の昼間にもかかわらず、ビール系飲料が24缶入った「箱」が次から次に売れていた。

 「いつもは6缶パックを買うけど、値上げ前だから箱で買うことにした」。近くに住む60代の女性はキリンビールの「一番搾り」を1箱、カートに載せた。「他のものも値上がりしているし、ビールの価格が上がるのもしょうがない」とつぶやいた。5箱をまとめたキャリーカートごと買い求める客もいた。

 この店は8月後半から酒売り場に値上げを知らせるチラシを貼りだし、買い置きを促してきた。2箱をひとつにまとめ、48缶単位で購入できる売り場も設けた。

 酒売り場の担当者は「まとめ買いが増えている。普段は1、2箱のお客が4、5箱を購入している。中には20箱買う方もいた」と話す。

 アサヒ、キリン、サントリー、サッポロのビール大手4社は10月1日、ビール系飲料や缶チューハイの出荷価格を一斉に引き上げる。各社によると、ビール系飲料の店頭価格は4~13%ほど上がる見込みだ。

 350ミリリットル缶のビールだと、アサヒの「スーパードライ」やキリンの「一番搾り」、サッポロの「黒ラベル」はコンビニで税込み220円前後から、230~250円前後に値上がりする想定だ。やや高めのサントリーの「ザ・プレミアム・モルツ」は258円程度から275円程度になるとみられている。

 値上がり前に買い置く「駆け込み需要」に応えるため、メーカー側も構える。

 アサヒとキリンは9月、主力の缶ビールの製造量の計画を前年同月に比べて2~3割ほど引き上げた。サントリーの「ザ・プレミアム・モルツ」シリーズの9月の出荷量も前年同月より2割程度多くなる見通しだ。

 値上げ後のビール需要は読みにくくなっている。大手メーカーの広報担当者は「基本的には9月に駆け込み需要があったのと同じ分だけ、10月には販売が落ち込むと予測される」という。一方、「ビールだけでなく、あらゆるモノが値上がりしている。節約志向が高まると、どれほど需要が落ち込むかを予測するのは難しい」とも語った。(山下裕志)