スープ作家有賀薫さんがポトフに込める思い 家庭料理を楽に、自由に

記事の後半でレシピをご覧いただけます

[PR]

 台所に立つ人が疲れてしまうくらいなら、何品も料理せずに、一皿で完結するスープかけご飯を作ろう。スープジャーを活用すれば、スープ弁当でおなかも心も満足。スープ作家の有賀薫さん(58)は今のくらしに合うスープのスタイルを様々に提案してきました。日常のご飯作りをより楽に、自由にしたいという思いがあります。

 「子どもの頃、母親は専業主婦が主流で、料理に時間も手間も割くことができました。けれど共働きが当たり前の今、日々の料理にそこまで手をかけるゆとりはありません」

 レストランにラーメン店、持ち帰りの総菜など、身の回りには美味があふれます。つい、家でも同じくらいおいしいメニューを作らねばと思うかもしれません。「でも外食の再現は複雑で手もかかります。むしろ家庭ではなるべくそぎ落とし、シンプルなおいしさを大事にしたい」

 塩豚のポトフは一皿の中に肉と野菜が入って温かく、満足感があります。塩とコショウをまぶした豚肉を鍋で煮込めば、本格的なスープができます。あえて、野菜はジャガイモのみにしました。「1種類だけだと、煮え加減を見極めやすいので」。キャベツやカブ、レンコンと野菜はお好みで変えてみてください。

 トマトを丸ごと入れて、崩しつつ食べるのも面白い。しょうゆをたらし、ラッキョウ漬けやしば漬けを添えると、ご飯に合う和風に。一つのパターンを押さえれば、素材や味付けを変え、展開が広がります。

 今春、有賀さんは10年あまり続けた毎朝のスープ作りを卒業しました。スープ作りのきっかけをくれた息子はすでに独立、家族の生活テンポも変化し、一区切りを付ける時だと思ったのです。旅に出やすくなり、6月にはいりこをテーマに香川県を訪れました。「家庭でベストなだしは何か、考えてみたいですね」。家庭料理の新しいデザインを求め、スープを作る日々はこれからも続きます。(構成・大村美香)

      

 ありが・かおる スープ作家 1964年、東京都生まれ。シンプルで作りやすいスープのレシピや暮らしの考え方を各種メディアで発信。「ライフ・スープ くらしが整う、わたしたちの新定番48品」(プレジデント社)を今月刊行。

塩豚とジャガイモのポトフ

 【主な材料・3人前】 豚肩ロースかたまり肉400~500g、粗塩小さじ2(肉の重さの2%)、粗びき黒コショウ小さじ1/4、ジャガイモ3個、野菜くず少々

①肉は重量2%の粗塩をまんべんなくつけ、コショウもまぶしつける。キッチンペーパーなどで包み、ラップをかけ冷蔵庫へ入れ、半日から2日置く。

②豚肉に巻いたペーパーをはずし、3等分に切って鍋に入れ、豚肉がかぶるぐらいの水を入れて(直径20cmの鍋なら約1200mlが目安)、中火にかける。野菜くずを一緒に入れておく。沸騰してアクが出てきたらまとめてすくい、火を弱めて1時間から1時間半煮込む。

③野菜くずを取り出し、皮をむいたジャガイモを鍋に加え、イモに串がすっと通るまで30分ほど煮込む。

④器に肉とジャガイモを盛ってスープを張り、好みでマスタードやピクルスを添えていただく。

1人前約440kcal、塩分2.8g(栄養計算:女子栄養大学栄養クリニック)

 肉が残ったら塩豚として、チャーハンやラーメンの具にできます。また薄く切ってサラダのトッピングやサンドイッチにするなど、ハムの代わりにも使えます。