第1回不動産は「白菜の値段」、驚きのペースの人口減 故郷が「空心村」に

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黒竜江省、海南省=金順姫
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 「白菜の値段で、不動産が買える」。こんな枕ことばで有名になったまちが、中国東北部にある。

 ロシア国境に接する黒竜江省鶴崗市。かつては炭鉱で栄え、省の4大産炭地の一つに数えられた。いまは財政が極度に悪化し、人口減も止まらない。

 安さの比喩として、中国語でよく使われるのが白菜だ。どんな部屋が、いくらで売られているのだろうか。ゼロコロナ政策で断続的に敷かれる移動規制の隙間をぬって、6月に現地を訪ねた。

連載「中国新世 人口減が始まる」

この連載では、中国の少子高齢化を取り上げます。豊富な労働力を背景に「世界の工場」と呼ばれ、爆発的な経済発展を遂げた中国でいま、何が起きているのでしょうか。地域の人口減や社会構造の変化によって、国の形や人びとの意識が大きく変わろうとしています。

 記者はまず、10年前と比べて人口減少が驚くようなペースで進んだ黒竜江省に向かいました。

 集合住宅が立ち並ぶ一画でタクシーを降りると、部屋を売りに出す貼り紙が掲示板や壁にたくさんあった。

 「急いで部屋を売ります」という1枚には、63.2平方メートルで3万5千元(約70万円)と書かれている。北京郊外の相場と比べて100分の1程度。もちろん「白菜の値段」で部屋は買えないが、安さは歴然だ。

 実際に物件を見てみたい。そう思いながら貼り紙の写真を撮り、住宅の前にいた男性に話しかけたところで、後ろから声をかけられた。

 現れたのは、市の当局者たちだった。事前の申請と許可がないと、取材はできないという。

 中国では少数民族問題や人権活動家への取材などで、警察に妨害されたり尾行されたりすることは珍しくない。しかし、住民の暮らしにかかわるこの手の話で、いきなり取材を止められたのには異様な印象を受けた。

 なぜだろうか。人口減、財政…

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    吉岡桂子
    (朝日新聞編集委員=中国など国際関係)
    2022年10月3日18時20分 投稿
    【視点】

    「未富先老(豊かになる前に老いる)」という中国語は、記憶する限りでも約20年前にはありました。03年に上海特派員として赴任したおり、すでに将来の少子高齢化が問題視されていました。日本もそうですが、人口問題は突然には起こらない。かなり先の予測