第5回人口減によるリスクはどこに、労働力にも変化 対外膨張は止まるのか

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聞き手・金順姫
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 人口大国・中国に急速な少子高齢化の波が押し寄せて、早ければ今年にも人口減少が始まるとみられています。

 中国の少子高齢化、人口減少によって、どのような問題が起きるのか。

 神戸大学の梶谷懐教授(現代中国経済論)に話を聞きました。

連載「中国新世 人口減が始まる」

この連載では、中国の少子高齢化を取り上げてきました。豊富な労働力を背景に「世界の工場」と呼ばれ、爆発的な経済発展を遂げた中国でいま、何が起きているのでしょうか。地域の人口減や社会構造の変化によって、国の形や人びとの意識が大きく変わろうとしています。

 ――中国の少子高齢化は、国内だけではなく国際社会にも影響を与えるでしょうか。

 国際社会では近年、安全保障の面から中国への警戒が強まってきました。ただ、今後中国で人口が減っていく状況から考えると、対外的な膨張は今後できなくなるのではないか。この点をもう少し冷静にみたほうがいいと考えています。

 人口が減り、高齢化が進んでいくと、預金を取り崩して生活する人が増えるので貯蓄率が確実に下がります。すると国内の資金が不足するので、「一帯一路」構想などに代表される海外への巨額の資金援助やインフラ投資はできなくなります。

 中国は2019年ごろから、新興国に対する新規の貸し付けを減らし、むしろ回収に動いている、と言われています。途上国にどんどん資金援助をして、国内の過剰供給を解消していくという「一帯一路」のモデルは、すでに曲がり角にきているのです。

 中国に限らず、ある国が対外的に膨張していく動機として、安定した職につけない若年層によるナショナリズムの盛り上がりが挙げられます。現在は若者が就きたい仕事と、供給とのミスマッチが問題になっていますが、人口が減って労働力不足が当たり前になると、その要素は弱まるでしょう。

梶谷懐さん

 かじたに・かい 1970年生まれ。神戸大学教授。専門は現代中国経済論。著書に「中国経済講義」「日本と中国経済」など。

大きなリスク

 ――少子高齢化が国内外の多方面に作用するのですね。

 一番深刻なのは貯蓄率が下が…

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