運動、記憶、学習、気分……。行動をコントロールする脳の働きは、微弱な電気刺激などで変えられる可能性があるという。脳活動を操作する「ニューロモデュレーション(神経調節)」と呼ばれる手法が、脳の仕組みの解明に役立っている。治療法開発につながる可能性もある。
記憶力アップ?
会議前にコーヒーを飲むかわりに、キャップをかぶって脳を刺激する――。
こんな未来の可能性を示したのは米ボストン大のロバート・ラインハート助教授らのグループだ。脳に微弱な電気刺激を与えるキャップを高齢者にかぶってもらい、読み上げられた100の単語を思い出す課題で記憶力を調べた。
20分の刺激を4日間繰り返すと、成績が上がり、効果は1カ月続き、副作用は特にみられなかったという。
記憶には、番号のメモを見た後すぐに電話をかける時に必要な「作業記憶」や、昔のできごとを覚える「長期記憶」があり、脳の異なる領域が、それぞれの役割を担っている。
グループは、いずれかの領域を「経頭蓋(ずがい)交流電気刺激」と呼ばれる方法で刺激した。刺激した領域に応じた記憶の改善効果がみられたと、英専門誌ネイチャーニューロサイエンスに8月、発表した。
グループはこの方法が将来、認知症などの治療に使えるかどうかの研究も進めている。
「研究は始まったばかりで…