インフレに財政出動は逆効果? 著名エコノミストが語る処方箋

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聞き手・西尾邦明
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 岸田文雄首相は30日、大型の経済対策を10月中にまとめるよう各省庁に指示しました。電気料金の値上がりを抑える新たな対策などを柱として打ち出す見込みですが、経済学的には財政出動インフレ(物価上昇)をむしろ加速させるといいます。一体、どういうことなのでしょうか。第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏に聞きました。

――岸田文雄首相が、物価高対策を含む大型の経済対策を指示しました。

 「経済学では『インフレ時に財政出動をすると、そのインフレが助長される』と考えられています。家計の行動で考えてみましょう。食料品や電気代は削ろうと思っても削りにくい基礎的な支出です。値上げされた分について、家計は貯蓄を取り崩すなどして対応する一方、レジャーや衣料品などの選択的な支出は減らすはずです。すると、これらの会社は売り上げを減らさないように、価格を上げずに維持しようとします。ところが、給付金や補助金が配られると、家計の痛みを気にする必要が薄れ、企業は値上げをしやすくなります。『家計の痛みを緩和=値上げを助長』というジレンマに陥ります」

――ただ、10月の値上げは食料品だけでも6千品目以上。家計が苦しいのも事実です。

 「食料品などの値上げは低所得者の方が影響を受けやすいので、そうした世帯への集中的な支援は欠かせません。緊急避難的に物価上昇に歯止めをかけることの必要性も認めます。ただ、賃上げなどで収入が増えなければ、家計の苦しさは改善されず、財政出動を繰り返すことになります。典型は、ガソリン補助金です。激変緩和事業と言いながら、1年近く延長し、やめられなくなっています」

――どうすればよいですか?

 「政府はガソリン補助金にす…

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