裁判長「国の書面提出、認めません」 アベノマスク単価訴訟、判決へ

安井健悟
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 政府が新型コロナウイルス対策で全国に配った布マスク(通称・アベノマスク)の単価や発注枚数の情報について、国が文書を「黒塗り」にしたのは違法だとして、神戸学院大の上脇博之教授が国に開示を求めた訴訟の弁論が30日、大阪地裁であった。国側は主張をまとめた書面を提出する予定だったが、指定日には間に合わず、徳地淳裁判長は提出を認めないまま、訴訟を結審した。判決は来年2月2日に言い渡される。

 国側は6月の前回の弁論で、新たに書面を提出する意向を示していた。地裁から「9月22日まで」と指定されていたが、30日の弁論開始前までずれ込んだといい、国側の代理人は法廷で「申し訳ありません」と陳謝した。原告側は書面の提出に同意せず、徳地裁判長は結審を宣告した。

 訴状によると、上脇教授は2020年4~5月、厚生労働省文部科学省に対し、納入業者との契約書などの情報公開を求めたが、単価や発注枚数の情報が「黒塗り」にされた。原告側は、開示文書の中に「単価が143円(税込み)になる連絡があり」との記載が黒塗りにされず、残っていたことなどを挙げ、「単価が明らかになっても国や企業の実務に支障は出ていない」と訴えてきた。

 一方、国側は開示しない理由として、調達能力や営業秘密などを明かすことで、納入業者の利益を害する恐れがある▽国が今後マスクを調達しようとした際、仕入れの交渉で不利になる――などと主張してきた。

 アベノマスクを巡っては、上脇教授は、納入業者との契約過程で作成された文書の開示を求めた訴訟も地裁に起こし、係争中。国側は「文書は存在しない」としてきたが、今年7月の弁論で一転、厚労省の職員2人が業者とやり取りしたメールが100通以上見つかったとし、説明を覆した。(安井健悟)