5年に1度だけ水を張る畑 年3千億円の交付金「厳格化」に農家反発

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井上潜、浅野真
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 今後5年、水田として1度も水張りをしなければ交付金は出さない――。水田から畑への転作をめぐり、こんな条件を柱とする国の「制度厳格化」が今年度から始まり、せっかくの畑を1年だけ水田に戻す事態が各地で相次いでいる。交付金は年間約3千億円。国に従って転作してきた農家は強く反発している。

 広々とした畑が広がる秋田県三種町。今年4月、昨年まで大豆が植えられていた畑を重機が動き回っていた。地面を掘り下げ、周囲を高くし、あぜを造る。6月には水を張って稲が植えられ、9月下旬には、収穫間近の稲穂が風になびいていた。

 同町の生産者の及位(のぞき)公英さん(73)は嘆く。「大豆は水を嫌う。来年ここを畑に戻すときは平らにし、排水設備を造らないと。金がかかる。これでは会社はもたない」

 きっかけは、農林水産省が打ち出した「水田活用の直接支払(しはらい)交付金の厳格化」だ。

 この交付金では、コメの転作作物として大豆や麦、飼料作物を栽培する農家に10アールあたり年間3万5千円が交付される。だが今年度から、今後5年間で1度も水稲作付けをしないと、2027年度以降は交付されないことになった。

 及位さんは昨年1月、農業法人「スカイブルー」を設立。他の高齢農家らから預かった農地が多く、10人ほどを雇って約130ヘクタールで大豆を育てている。交付金を受けるため、やむなく一部を水田に造り直した。

 秋田では大豆の収穫期は10月後半からで、コメの収穫がほぼ終わり、作業がぶつからなくて済むため、大豆を育てる農家が多い。

 大豆はコメと比べ収量が少なく、買い取り価格も安い。交付金がなければ作り続けるのは難しい。「預かった農地を返すしかなくなったら、耕作放棄地が増えてしまう」。ともに経営に加わる関恒雄さん(73)はそう憤る。

 なぜ農水省は「厳格化」を打ち出したのか。

 農水省は民主党政権時代の1…

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