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iPSから血小板、難病患者に輸血 世界初の試み、効果と安全性は

鈴木智之
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 京都大学は9月30日、患者本人由来のiPS細胞からつくった血小板製剤を輸血した世界初の臨床研究の結果を発表した。安全性が確認された一方、血中の血小板数に大きな変化はなく、有効性はわからなかった。

 京大によると、輸血したのは血小板などの数が減る「再生不良性貧血」という難病患者1人で、他人の血小板を使うと拒絶反応が起きる特殊なタイプだった。そこで、患者自身の血液細胞をもとにしたiPS細胞から血小板をつくり、2019年5月から20年1月にかけて計3回、100億~1千億個を輸血した。

 1年間の経過観察中に目立った副作用はみられなかった。ただ、血中の血小板数は大きくは変わらず、効果は判断できなかった。輸血した血小板が通常より大きいために検査で捉えられなかったり、輸血前の時点で血小板の数が比較的多い患者だったことが影響したりした可能性があるという。

 研究開発責任者の江藤浩之・iPS細胞研究所教授は「実用化にはかなりギャップがある。慎重に少量から投与し、安全性をきちんと見られて少し安心した」。実施責任医師の高折晃史・医学部付属病院教授は「人に初めて投与したということは大きな前進だ」と話した。今後、より血小板の数が少ない患者に、さらに多くの血小板製剤を輸血することを検討するという。

 江藤教授らが創設したベンチャー企業「メガカリオン」(京都市)は、他人のiPS細胞からつくった血小板製剤についても、実用化を目指した臨床試験(治験)を進めている。(鈴木智之)