オリックス、土壇場の奇策 福田のサヨナラバント 連覇へ望みつなぐ

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(30日、プロ野球 オリックス・バファローズ4ー3千葉ロッテ・マリーンズ)

 この局面で、この選択。球場にいる誰もが予想していなかったはずだ。

 オリックスが同点に追いつかれた直後の九回の攻撃だ。2死三塁として打席には1番の福田。3球で3ボールとなったところで、身長167センチの30歳はひらめいた。

 「まさかバントしてくるとは思ってないであろう、カウントとシチュエーションかな」

 4球目。バットを寝かせた。意表を突くセーフティーバントだ。一塁前に転がすと、捕球した一塁手のタッチをかいくぐり、一塁にヘッドスライディングした。審判の手は横に開き、セーフ。今季6度目のサヨナラ勝ちをもぎ取り、3万1442人が集まった球場が揺れるように沸いた。

 絶対に負けられない一戦は、思うように進まなかった。試合前時点で両リーグトップの防御率1・65の山本が先発。今季ロッテ戦は5戦5勝と「お得意様」にしていたが、一回に先取点を奪われ、五回までで81球を投じるなど苦しんだ。

 1点リードで迎えた九回は守護神・平野佳が制球を乱し、同点打を許した。

 中嶋監督は今季、こう言ったことがある。「(優勝した)昨年は、誰かのミスを誰かが消していた」。悪い流れだったチームを最後に救ったのが、9月は不調で2軍落ちも経験した福田だった。

 八回には宗の好走塁で、一時は勝ち越しとなる得点を奪った。九回、サヨナラの得点を挙げた紅林は先頭打者として二塁打を放ち、若月の内野ゴロで三塁に進んでいた。

 福田は「難しい打球だったけど、裏で隠れた好走塁あったからこそ、あの場面に僕が出くわした。全員で細かいことできるチームが強い」と胸を張った。

 この日、先に勝ったソフトバンクはマジック1に。オリックスは引き分け以下で優勝を逃すところだったが、踏みとどまった。

 「最後まで優勝できることを信じてやるだけなんで。勝つことだけ考えてやりたい」

 泥だらけのユニホームの福田からは、諦めない気持ちだけが伝わってきた。室田賢

能見、引退登板で145キロ

 今季限りで現役を引退するオリックスの能見兼任コーチが同点の八回に登板。ロッテの4番安田に対し、持ち前の大きく振りかぶるワインドアップから全4球、直球を投げ込んだ。最後は145キロの速球で空振り三振を奪い、交代した。阪神で16年、オリックスで2年の現役生活。試合後のセレモニーで「悔いはありません。やりきりました。僕は幸せでした」とあいさつ。阪神時代の同僚の鳥谷敬氏から花束を贈られた。