母へのピースが生きがいだった 得点王を育んだ貧困家庭の絆

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聞き手はいずれも辻隆徳
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 家庭の経済的な理由で、サッカーを続けるのが難しくなる子どもたちがいる。日本代表に選ばれたこともある川崎フロンターレ小林悠選手は、そうした子どもたちを支援する活動に参加している。

 自身も貧しい子ども時代を過ごし、社会に訴えたいことがあるという。

「本当に食べるものがなくて」

 ――貧困によってサッカーを習い続けるのが難しい日本の子どもたちを支援する活動に、2021年から参加していますね。

 「子どもたちとオンラインで交流し、相談に乗っています。母子家庭などでお金がない小中学生が多く、金銭的な支援もしています」

 ――なぜ、この支援をしようと思ったのですか。

 「自分がそういう境遇で育ってきたので、子どもを励ますのに一番説得力があると思いました。僕の場合は、母子家庭。プロになりたかった理由の一つに、母に楽をさせてあげたいという思いがありました。今は貧しくても、しっかり自分の目標に向かえれば成功することもできるんだという、僕の実体験を話しています」

 ――どんな子ども時代だったんですか。

小林選手は、穴があいたスパイクを使い続け、麦茶をかけたご飯だけという日を過ごしました。それでも幸せだったのは、ゴール後の母の姿があったからだと話します。サッカーのために借金する家庭が多く存在する現状も識者に語ってもらっています。

 「母と兄の3人暮らしでした。僕と兄は『鍵っ子』で、仕事で遅くなる母を家で待っていましたね。部屋は、寝るところと、ご飯を食べるところの二つしかなくて、3人で川の字で寝ていましたね。お風呂とトイレは一緒になっていました」

「母は、いつも試合を見に来てくれて、僕の一番のファン」

 「本当に食べるものがなくて…

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    後藤太輔
    (朝日新聞スポーツ部次長=子供、社会)
    2022年10月5日10時23分 投稿
    【提案】

     スポーツのような文化体験が子どもにとっていかに大切か。小林選手が体現しています。  楽しめる→熱中し頑張れる→上達し、いいプレーができる→周りに認められ応援される→もっと楽しくなって頑張れる この過程で、多様な人とのつながりができ、何

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    中小路徹
    (朝日新聞編集委員=スポーツと社会)
    2022年10月5日8時47分 投稿
    【解説】

     このラブフットボール・ジャパンの応援事業の受益者側の母子家庭を取材したことがあります。  「サッカーをやると、子どもに友人ができる。それが大きい。貧しさが続くと、どんどん孤立していく。そういうことが避けられます」 「(オンライン交流会