安倍晋三元首相の国葬には、賛否が分かれました。外交官として長年働き、国際経験豊かな田中信明・元駐トルコ大使は、国葬から日本独特の事情が見えてくるといいます。
インタビューシリーズ「国葬を考える」
安倍晋三元首相の国葬をめぐり、世論の賛否が割れています。首相経験者としては1967年の吉田茂氏以来戦後2例目となる今回の国葬をどう考えたらいいのでしょうか。様々な角度から有識者らに聞きました。
――今回の国葬について、外国メディアは「日本社会の分裂だ」と報じています。
確かに、2万人を超す人々が一般献花台を訪れ、その数百メートル先では、やはり大勢の人が「国葬反対」を叫んで抗議活動をしていました。背景には、日本独特の事情があると思います。
日本の場合、米国のケネディ、英国のチャーチル、フランスのドゴール、インドのネルー、ベトナムのホー・チ・ミン、旧ユーゴスラビアのチトーといった、国民全体が評価する近現代の政治家がほとんど見当たりません。
これは、国民全体が納得する…