阪神、3位と最大9・5ゲーム差からCS進出! V字回復の転機は…

高橋健人
[PR]

 プロ野球・阪神が3位との最大9・5ゲーム差をひっくり返し、逆転のクライマックスシリーズ(CS)進出を決めた。

 1日に4位巨人がDeNA戦で0―1で敗れ、阪神の3位が確定した。

 仮に巨人が勝っていても、阪神は2日のヤクルト戦に勝てば自力でCS出場をつかめる状況だった。

 最終盤まで巨人、広島と、CSへの最後のイスを争ってきた。

 矢野燿大監督はこうコメントした。

 「選手たちが粘りに粘って作ってくれたチャンス。素直に3位で喜んでどうするんだという自分もいるけど、この3位を素直に喜びたいなという自分もいます」

 振り返れば、怒濤(どとう)のシーズンだった。

 開幕からセ・リーグ新記録の9連敗。17試合を終え、1勝15敗1分け、勝率6分3厘と泥沼にはまった。

 その時点では、優勝はおろか、CS進出さえイメージすることは難しかった。

 4月21日、5月13、14日には、3位とのゲーム差が9・5も開いていた。

 転機となったのは、6月3日の日本ハム戦。元阪神の新庄剛志監督が16年ぶりに甲子園に凱旋(がいせん)し、注目された試合だ。

 三回を終えて1―7。そこから猛反撃を見せた。

 2点を追う八回1死から大山悠輔が1試合3本目の本塁打で1点差に縮めると、矢野監督が積極采配に打って出る。

 代打、代走のカードを次々と切って相手にプレッシャーをかけ、最後は1死満塁で島田海吏が押し出し四球を選び、勝ち越した。

 その攻撃を終え、野手の控えは捕手片山雄哉しか残っていなかった。

 6点差を追う劣勢から総力戦で勝ち切り、チームは勢いを取り戻した。

 6、7月は28勝14敗1分け。順位は一時、2位まで上がった。

 チームの生命線となったのは投手陣だ。

 1日時点のチーム防御率2・67は、堂々の12球団トップの数字だ。

 最多勝最優秀防御率、勝率1位の投手3冠が濃厚の青柳晃洋、6試合で完投した伊藤将司を中心に先発陣が試合をつくった。

 絶対的守護神のスアレスが昨季限りで退団。課題だったリリーフ陣に湯浅京己、浜地真澄ら若手が台頭したのも大きかった。

 阪神が3位に入ったことで、矢野監督は2019年から4年連続でAクラス(3位以上)となった。

 2リーグ分立後、球団で就任1年目から4年連続Aクラスに導いたのは1962~65年の藤本定義以来(61年はシーズン途中から指揮)2人目の快挙だ。

 矢野監督は1月31日、異例の早さで今季限りでの退任を表明。来季監督には岡田彰布氏が内定したが、まだシーズンは終わっていない。

 矢野監督はチーム状態についてこう話す。

 「諦めないって言葉は言うのは簡単だけど、行動に移すのは難しい。それをいつも以上にベンチの雰囲気、戦っている姿で、俺は感じ取れている」

 選手たちに繰り返してきた「諦めない野球」が浸透しているのを感じている。

 逆境を越えてつかんだCSへの切符。

 いま一度、4年間の集大成を見せるときがきた。(高橋健人)