自慢の収集品、見てほしい 「好き」が集まる貸しショーケースの空間

ライター・神野泰司
[PR]

 懐かしのミニカーやゲーム機、フィギュアなど個人的なコレクションを展示できる場所が茨城県大洗町にある。大中小49台の貸しショーケースがあり、思い入れのある品々を並べられる。さまざまな趣味を持つ人たちが交流し、語り合える場になっている。

 昨年11月にオープンした「SHOWCASE(ショーケース)大洗」は、商業施設・大洗シーサイドステーションの2階にある。鍵付きのガラスのショーケースが並び、高さ160センチを超える大きなものもある。

 展示する品々には、ケースを借りた人のこだわりがあらわれる。第1次大戦当時の英軍艦の350分の1模型。かつて水戸と大洗を結んでいた水浜(すいひん)電車の切符。1984年に発売されたパソコン「MSX」――。

 オープン時、展示申し込みがあったのは49台のうち7割程度だったが、翌月には全て埋まった。借りられる期間は半年が基本で、料金は大きさに応じて2400~6千円(6カ月)。

置き場所なく、家族に肩身が狭い…

 発案したのは、代表の常盤良彦さん(52)だ。同じ商業施設に入る大洗まいわい市場や、大洗が舞台の人気アニメ「ガールズ&パンツァー(ガルパン)」のグッズを販売する大洗ガルパンギャラリーも運営する。

 ギャラリーやイベントで来場者と交流するうちに、趣味のコレクションを並べるにも自宅が手狭で置き場所に困ったり、家族に対して肩身の狭い思いをしたりしている人が多い現状を知った。

 せっかく展示するなら、場所を貸すだけでなく、交流の場にしたいと考えている。ショーケースの利用者同士が、SNSでつながる例もあるという。常盤さんは「みんな自慢のコレクションを見てもらいたい気持ちがある。趣味をきっかけに人の輪がつながり、広がってくれれば」と期待を寄せる。

 半年がたち、今年5月に展示が初めて更新された。ショーケース大洗の西村弓子館長(51)によると、新規の申し込みが増え、手頃な中・小サイズは抽選になった。「利用は男性がほとんど。小学生の息子さんとシェアするお父さんもいます。今回は初めて女性の利用がありました。もっと増えてほしいですね」

 ひたちなか市の会社員矢吹隆浩さん(56)は、5月からショーケースを借り、懐かしい卓上黒電話と黎明(れいめい)期のデジタル携帯電話を飾った。「黒電話のダイヤルを回したときの感触が好きでした。小さい頃から親しんでいた物を今の人にも見てもらいたくて」

 水戸市の大学生五十嵐宇応(うおう)さん(22)も5月から。ミニカーが大好きで、実家と自宅に2千台以上はあるという。7月末から9月10日まではショーケースの上段に、ガルパンの放映が始まった2012年に発売されたミニカーだけを並べるこだわりを見せた。今は有名企業とコラボしたミニカーを展示している。

 「みなさんの『好き』や愛が集まっていて、他にはない空間だと感じた。その中に自分のコレクションを飾ったら、輝くだろうなと思ったんです」

 問い合わせはホームページ(https://sc-oarai.com/別ウインドウで開きます)から。(ライター・神野泰司)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません