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「外傷死を減らせ」 重症者をセンターで治療、自治体で進むとりくみ

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寺崎省子 熊井洋美
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 交通事故や災害、事件で、頭や胸、おなかなどから大量出血するような大けがを負ったとき、治療を担う「外傷センター」。救える命を見逃さないよう、関連学会は診療体制の整備が重要、と指摘する。独自に外傷センターを指定する自治体も出てきた。運用の実際と背景、課題を探った。(寺崎省子、熊井洋美)

 日本外傷学会は昨年5月、市民がけがをした際の救命と社会復帰をめざし、蘇生・機能の再建・リハビリテーションの3センターの機能を地域の1施設、または複数の施設で担うことなどを柱にした提言をまとめた。

 「『外傷センター』の設置を根幹とした外傷システムの構築に向けた取り組みは大きな課題の一つ」で、「防ぎ得る『死と後遺障害』の双方を回避するための包括的な診療体制を全国的に検討していくことが必要だ」と指摘した。

外傷死の4割 「防ぎ得た」 20年後のいまは…

 日本で「外傷センター」の必要性が大きく認識されたのは約20年前にさかのぼる。

 「外傷死の4割近くが、病院前・病院収容後の諸問題がなければ避け得た可能性が高い死(防ぎ得る外傷死、PTD)だった」との報告を2001年度に厚生労働省研究班がまとめた。

 研究班は、高度救命救急セン…

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