角川歴彦会長を贈賄罪で起訴 部下との共謀、否定のまま 五輪汚職

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 東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件で、東京地検特捜部は4日、出版大手「KADOKAWA」の会長・角川歴彦(つぐひこ)容疑者(79)を贈賄罪で起訴し、発表した。角川会長は起訴を受けて会長辞任を表明する一方、「私は無実」と強調した。

 発表などによると、角川会長は部下の元専務・芳原世幸(としゆき)(64)、元五輪担当室長・馬庭教二(63)両被告=贈賄罪で9月に起訴=と共謀。2016~18年、大会組織委員会の理事だった高橋治之容疑者(78)=受託収賄罪で起訴、再逮捕=に対し、スポンサーに選定するとともに、協賛金を3億8千万円以内に抑え、迅速に契約手続きをしてほしいと依頼したという。

 19年4月にスポンサーに決まると、高橋元理事の知人の深見和政容疑者(73)=同=が経営するコンサル会社「コモンズ2」と契約を結び、同年9月~21年1月に謝礼としてコモンズ2に9回で計約6900万円を送金したとされる。

 高橋元理事の起訴内容は約7600万円とされたが、角川会長らは贈賄罪の公訴時効(3年)を踏まえ、19年7月に送金した約700万円は除かれた。

 関係者によると、高橋元理事らはKADOKAWA側に、スポンサー就任の費用を3億5千万円と提示した。内訳は8割の2億8千万円が組織委に払う協賛金、2割の7千万円が仲介手数料で、特捜部は手数料分(税込みで約7600万円)を賄賂と認定した。

 コモンズ2とコンサル契約を結ぶ前、馬庭元室長らは角川会長に「リスクがある」と報告した。馬庭元室長は法務部門の聞き取りに、高橋元理事に利益が供与されれば「贈収賄になると会長らは認識している」とも答えていたという。

 角川会長は「(馬庭元室長から)報告を受けた覚えはない」と供述し、コモンズ2への支払いは「コンサル業務への正当な報酬」と一貫して否認したという。

 特捜部は、当時の社長としてコンサル契約を最終決裁した松原真樹・現副会長の自宅も家宅捜索するなどして調べたが、松原氏には違法性の認識がなかったとして起訴は見送った。

 角川会長はこの日、弁護団を通じてコメントを発表。「私だけでなく社員2人が逮捕・起訴された事態は大変重く、責任を取る必要がある」と辞任理由を説明した。一方で「汚職に関与したことは一切ない。裁判では私が無実だと明らかにしていく」と主張した。

 角川会長は、前身の「角川書店」を創業した故・角川源義氏の息子。1993年に兄の春樹氏に代わって社長になり、2005年から会長を務めていた。

 高橋元理事は紳士服大手「AOKIホールディングス」ルートでも起訴され、広告大手「大広」ルートで3回目の逮捕となっている。