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沖縄返還の密約漏洩で新文書、被害者の外務省「証言を辞退したい」

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編集委員・藤田直央
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 1972年の沖縄返還に際し、米軍用地の原状回復費を日本が肩代わりするとした日米密約。この秘密文書がもれた事件の立証をめざす検察に、「被害者」のはずの外務省幹部が証言を拒もうとした――。外務省の開示文書から検察とのやり取りが明らかになった。

 外務省は72年4月、秘密文書をもらしたとして事務官の女性を国家公務員法(守秘義務)違反で告発。漏洩(ろうえい)をそそのかしたとして毎日新聞記者の西山太吉氏(91)も起訴された。西山氏は文書の受け取りを認める一方、国民を欺く密約が同法の保護する秘密に値しないと無罪を主張した。西山事件と呼ばれる。

 密約とは、沖縄返還協定で米国が自発的に払うとされた軍用地の原状回復費400万ドルを、日本が肩代わりする内容。もれたのは交渉過程の文書だった。日本政府は秘密はもれたが、密約はないとの立場だった。密約の存在は2000年以降、米政府の文書や元外務省幹部の証言で確認されたが、日本政府は今も認めていない。

 外務省は作成から30年経った文書ファイルを外交史料館に移し、目録を公表。閲覧申請があれば開示範囲を審査する。今回は「秘密保全」というタイトルで、西山事件裁判への外務省の対応をまとめたファイル4冊が20年9月に目録に載り、朝日新聞記者が昨年10月に閲覧を求め、先月に一部を除き認められた。

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    藤田直央
    (朝日新聞編集委員=政治、外交、憲法)
    2022年10月5日10時51分 投稿
    【解説】

    書きました。50年前の沖縄返還の直前、日本を揺るがした「西山事件」。毎日新聞の西山記者が日米間の密約を報じましたが、根拠となった秘密文書をもらすよう外務省の女性事務官をそそのかしたとして逮捕されました。  国民の知る権利や取材手法の是非を