安倍氏銃撃現場「形あるものは残さない」 世論の変化に揺れた奈良市

富岡万葉
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 安倍晋三元首相の銃撃現場に形あるものは残さない――。奈良市の仲川げん市長が4日の会見で発表した。事件から3カ月弱。事件直後とは世論が変わっていったことが、決断に影響を与えたという。

 市は9月に三つの案を準備して専門家に意見を聴き、交通安全に最も支障がないとされる案を選択。再開発計画で拡張が決まっていた歩道の角に花壇を整備し、現在の予算の範囲内で対応する。検討の過程で、安倍氏の遺族の意向を聴く機会はなかったという。

 仲川市長は事件直後には「記録が必要」との見解を示していたが、旧統一教会と政治の関係や国葬をめぐって世論は変遷。跡地利用について市に寄せられる意見は反対が増加し、4日時点で賛成が34、反対は69になった。仲川市長は4日の会見で「今の時代の人が全てを決めるということではない」と話し、将来の設置は可能だと説明した。

 仲川市長は7月22日の朝日新聞の取材に対し、花壇という形を例示していた。(富岡万葉)

現場の跡地利用について市に寄せられた意見の一部(市関係者への取材による)

 【賛成】

・募金で(碑などを)建ててほしい

・追悼できるような整備を希望

・民主主義の大切さを刻む証しとして形で残してほしい

 【反対】

・事件を思い出したくない

・税金を使う対象ではない

・碑などに人が集まると視覚障害者にとって危険