花びらシャワーで笑顔咲く 京都の花屋、ロス減らす取り組み

小西良昭
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 フラワーロス(花の廃棄)と呼ばれ、売れ残りで捨てられる花がコロナ禍で増えていると言われる。人々が会って花を贈る機会が減ったためだ。せっかく咲いた花を少しでも多くの人に楽しんでもらおうと、京都府久御山町の花屋さんがある取り組みを進めている。

 パンジーやビオラ、マリーゴールド、バラなど、約10種、1500本の花からとった花びらが、「フラワーシャワー」となって、約50人の上に降り注ぐ。久御山町役場で2日に開かれたイベントの風景だ。

 一家5人で参加した小学1年の大眉明音(おおまゆあかね)さん(6)は何度も花びらを両手で放り上げて「家ではできないので楽しい。友だちもできた」と話した。

 全盲の長沢静代さん(71)も参加者の一人。花びらに触れたり、抱えたり、香りを楽しんだり。「たくさんの人とも触れあえた」と、うれしそうに話した。

 イベント後に記者も体験させてもらった。降り注ぐ花びらの色、香りはもちろん、しっとり水分を含んだ重さも感じた。手元や足元に積もった花びらを思わずかき集め、わくわくする感覚になった。

 花びらのシャワーを体験するこのイベントは、町内で花屋「フラワー&グリーンSAHO」を営む人長(ひとおさ)佐保さん(48)が企画した。

 きっかけは10年以上前。目の見えない人にも花を楽しんでもらおうと、盲学校でコケ玉を作る講習を提案した。ところが、全盲の人から「コケが分からない」と言われ、狙いを伝えられずショックを受けた。

 フラワーアレンジメント講習で障害者らのリハビリを手伝ったが、花びらなら説明なしに楽しめるはずと思い至り、2、3年前、フラワーシャワーを体験してもらう取り組みを開始。参加者の笑顔がはじけるのを実感した。医療や福祉施設の職員も「少しの間、すごく癒やされた」と言ってくれたという。

 後押しとなったのが、くしくもコロナ禍だった。

 結婚式の自粛やイベントの中止、人々が対面する機会の激減で、花の需要は落ち込んだ。人長さんによると、花屋は1年のうちで、卒業式のある3月が一番忙しいが、中止する学校が相次いだ。そして花の廃棄が増えた。生産農家や花屋の廃業も聞くようになった。SDGs(持続可能な開発目標)が広まるなか、花を廃棄する自分に矛盾も感じた。

 「ピンチで考え直す時間ができた。これまでとは違う取り組みをしないと」と考え、今年5月、フラワーロスを減らすための会社「KAZAMI(カザミ)DREAM(ドリーム)」をつくり、フラワーシャワー活動を本格化させた。

 捨てる前の花をセットにして、保育園や幼稚園に「花遊び」教材として届けるほか、花びらを粉末にして、色も香りも楽しめる絵の具「花えのぐ」の開発を始めた。生花の販売時に捨てられる茎を堆肥(たいひ)にして、そこへ花を植えることも構想している。

 「花を捨てるのは環境にもよくない。自然を大切にすれば人にも優しくなれる。そういう社会でありたい。もう一度咲く場所をつくりたい」(小西良昭)