J1勢に4連勝で初の決勝 J2連敗中の甲府が天皇杯で躍進するわけ

勝見壮史
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(5日、サッカー天皇杯準決勝 甲府1―0鹿島)

 鹿島の弱点と踏み、狙っていたプレーだった。

 前半37分、甲府のFW宮崎は鹿島のDFと入れ替わるように、背後へ抜け出した。

 自陣からの長い浮き球のパスを、ワンタッチで丁寧に転がした。「冷静だった」。1対1になった相手GKをかわし、チームを初の決勝へと導くゴールを決めた。

 甲府はJ2で6連敗中。8月6日を最後に、10試合も勝ち星から見放されている。それが、天皇杯になると生まれかわったかのように輝きを放っている。3回戦以降、札幌、鳥栖、福岡とJ1勢を次々と撃破してたどり着いた、クラブ初の4強だった。

 躍進の鍵は、「割り切り」にある。

 本来は、自陣からパスをつなぐ戦い方を志向している。この日、鹿島の前線からの圧力が強いと感じれば、ためらうこと無く前方へ球を蹴り出した。先取点も、DF浦上の縦パス1本で切り開いたものだった。

 吉田監督は言う。「(J2では)しのぎきる、守り切るというのを何度も失敗してきた。リーグより、割り切りやすい」。押し込まれた後半は、最終ラインで5人がバランスよく並んで守り固め、鹿島のサイド攻撃をはね返し続けた。

 理想は脇に置き、泥臭く戦う。またも格上のJ1勢と相まみえる決勝でも、その姿勢を貫く覚悟だ。浦上は言う。「ここまで来たら、てっぺんを狙いたい」(勝見壮史)