「番狂わせ甲府」天皇杯でJ1勢を破り決勝へ 早野さんが強さを分析

佐藤靖
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 格上のチームを次々と撃破し、初の大舞台へ。サッカーJ2のヴァンフォーレ甲府天皇杯の決勝進出(16日、横浜市日産スタジアム)を決めた。5日夜の準決勝(茨城・カシマスタジアム)では、J1鹿島アントラーズの猛攻をはね返し続け、1―0で競り勝った。

 天皇杯でJ1のチームに4連勝して決勝に進む甲府だが、J2のリーグ戦では6連敗中。5日の時点で9勝15分け15敗の18位で、J2残留も確定していない。なぜ、天皇杯で躍進しているのか。サッカー解説者の早野宏史さんに聞いた。

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 これは不思議な現象だよね。システムも人のやりくりも変わらないのに。初戦の環太平洋大学に勝った後、J1の札幌と鳥栖に勝った。そこで自信ができたと思う。格上とやる割り切りとまとまりもあり、勝っていった感じだ。決勝まで行くとは……。勢いは怖い。ヴァンフォーレ甲府ではなく「番狂わせ甲府」だよね。

 準決勝のボールポゼッション率(ボールを保持した時間)は鹿島が64%、甲府は36%。シュートも鹿島が18本、甲府が6本だった。相手は勝たなければいけない一方、甲府は点を取られない感じで試合をしていた。過去4回阻まれたベスト8を勝ち、ベスト4の扉を開いた勢いもあった。

 一方、リーグ戦はチャレンジではなく、勝っていかないといけない。ちょっとうまくいかずに6連敗。J3降格もゼロではない。次のホームでの岡山戦は勝ってほしいね。

吉田監督「サッカー界で特別なことをやり遂げた」

 準決勝終了後に開かれた記者会見での吉田達磨監督の発言要旨は次の通り。(VF甲府の公式サイトから)

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 僕たちが勝つとは思っていない人が多かったでしょうし、それを少しずつ変えていこうとゲームが始まった。「甲府は非常に面倒臭いぞ」と思わせないといけないという話を選手としていた。立ち上がりは蹴り合いになっても、出て行くことで自分たちの距離感になっていく。鹿島の圧力はすごく、セカンドボールを取れないことが多くあった。

 CB(センターバック)からFW(フォワード)へ1本のパスで点を取ったが、リーグ戦では入らない。今日入ったのは何か色々な力がカシマスタジアムにあった。あと2週間でリーグ戦が終わるが、そこでの成長を見せてくれた。

 総括すると「うれしい」の一言であり、「ホッとした」ところもあります。何よりうれしいのは、カシマスタジアムで鹿島に勝ったこと。日本のサッカー界で生きている僕たちにとって特別なことをやり遂げた。

 サポート、応援してくれている人たち全員に「おめでとうございます」と言いたいです。(佐藤靖)