三重県の小林貴虎県議=自民党=が6日、津市内で会見し「国葬反対のSNS発信の8割が隣の大陸からだったという分析が出ているという」などとするツイッターへの一連の投稿を、誤りだとして撤回した。一時は高市早苗・経済安保担当相の講演から引用したと主張していたが、何を誤ったかの説明は拒み続けた。
質問に謝罪、回答避ける場面目立つ
小林氏は50分弱の会見で、少なくとも16回にわたって「差し控える」や「控える」と繰り返した。質問に謝罪で応じ、回答を避ける場面も目立った。
小林氏は2日に「8割が隣の大陸」と投稿。4日には報道陣に、名古屋市内で2日にあった高市氏の講演内容から引用したと主張し、改めて「高市早苗先生が、政府の調査結果としてお伝えいただいた内容です」と投稿した。
「訂正」から「撤回」へ 関係者と目を合わせ
6日の会見冒頭では「発言を訂正し、おわび申し上げたい」としたが、何を訂正するかは、講演会が非公開だったとして回答を拒否。重ねて問われると、会見室入り口にいた自民党関係者と目線を合わせてから「撤回したい」と改め、一連の投稿を5日夜に削除したことも明らかにした。
誤りは同じ講演を聞いた他の出席者の記録と、自分のメモをすりあわせて気づいたとし、「圧力はない。本心からだ」と主張。自身の責任については「党の指示を待つ」として、辞職の考えはないとした。高市氏の事務所にはおわびの連絡をしたという。
また、小林氏のツイッターは5日夜から非公開となっているが、「多くの方にご迷惑をおかけしたので」と説明した。今後のSNS発信については「わからない」とした。
識者「政治家としていかがなものか」
名城大の昇秀樹教授(地方自治論)は、「そもそも、なぜ講演会は非公開だったのか。その理由を明かさずに一切話せないと言われても、聞く側は納得できない」と指摘。「なぜ一度公開した投稿内容を、後になって撤回したのかを話さないと、説明責任を果たしたことにはならない」と、小林氏の姿勢を疑問視する。
小林氏がツイッターを非公開としたことも「SNSこそ世界中の人が見ている。理由の説明もなく閉じるのは、政治家としてはいかがなものか」と話した。(山本知弘 関謙次)
小林氏との主なやりとりは次の通り。
■冒頭発言…
- 【視点】
「訂正」とは、「誤りを正し改めること」(広辞苑)だ。訂正のための記者会見を開きながら、どこをどう改めるか、を言わない県議。その会見の異常さが、詳しい一問一答や動画を見るとよく分かる。デジタルの強みが生かされた報道と思う。 自分で開いた
- 【視点】
何から何までいい加減な小林氏ですが、この騒動には貴重な教訓もあります。それがこの記事の、小林氏のツイートを撮った写真にあります。 ツイートには「ウクライナ戦争で明らかになったように情報戦争の時代です。我が国も安全保障上取り組むべき課題だ