【そもそも解説】日銀総裁の仕事って? 緩和続けた黒田氏、後任は
日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁の任期が8日で、残り半年になります。日銀の金融政策が一因となって円安や物価高が進む中、新たな総裁に誰が就き、どんな金融政策をしていくのか、注目が集まっています。そもそも日銀総裁ってどんな仕事をしているのか、総裁人事が重要な理由とは何なのか、解説します。
Q 日銀って、どんな仕事をしているの?
A 最も大切な仕事の一つは、物価を安定させることだよ。物価は、景気が悪いと下がり続け、逆に景気が過熱すると上がり続ける恐れがある。物価が一方的に上がったり下がったりすれば、家計や企業は困ってしまう。そうならないよう、日銀は金融政策を決めるんだ。
金融政策とは、お金を貸し借りする際にかかる金利を上げ下げしたり、世の中のお金の量を増減させたりすることだ。景気が悪くて物価が下がっている時は、金利を下げたり、世の中に回るお金の量を増やしたりする「金融緩和」で、みんながお金を使いやすくして、景気が良くなるようにするんだ。景気が良くなりすぎて物価が上がっている時は、その逆の「金融引き締め」をする。物価の安定は、日銀だけでなく世界の中央銀行の使命で、中央銀行は「物価の番人」と呼ばれている。
Q その日銀のトップが「総裁」だね。
A そうだよ。日銀総裁は、政府が国会の同意を得て任命する。任期は5年。総裁は議長として、他の幹部ら計9人で金融政策を決める会合を定期的に開いている。大切な国際会議などにも出席するし、日本の金融政策の「顔」でもある。
Q 過去には、どんな人が総裁になったの?
A 今の黒田氏は31代総裁だ。総裁は日銀と財務省(旧大蔵省)の出身者が就くことが多く、戦後に就任した総裁は1人を除いて、日銀か財務省の出身者だ。黒田氏も、財務省で通貨政策を担う財務官を務めていた。
Q なぜ黒田氏が総裁に選ばれたの?
A 日本はバブル景気が崩壊…

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