アフリカの村にきれいな水を 「秘伝」技術の信大クリスタルで実現
菅沼遼
信州大工学部で培ってきた「秘伝」の技術を生かし、信大の教授らがアフリカの水問題に挑んでいる。地下水やわき水に含まれ、健康に影響する物質を水から取り除く結晶を開発。浄水装置をタンザニアの村に運び入れ、来年1月にも運用を始める計画だ。
9月7日、諏訪市の工場に七つの円柱形タンクをつなげた浄水装置が置かれていた。装置の大きさはおよそ3メートル×2メートル、高さは2メートル弱。重力式で電気設備は必要ない。設計した三菱ケミカルアクア・ソリューションズの担当者から説明を受けながら、信州大工学部の手嶋勝弥教授(無機化学)が出来栄えを確認していた。
この装置は、9月28日に船で横浜港を出発。11月にタンザニアの港に届けられ、北部アルーシャ州のレマンダ村に運ばれる。
50年以上の歴史を持つ技術
浄水機能の肝となるのが、信州大工学部の結晶育成技術だ。無機単結晶を作る「フラックス法」の研究は50年以上の歴史がある。蓄積された実験データをもとに、原料の組み合わせや加熱の程度を調整すれば、結晶の大きさや質までコントロールができる。
手嶋教授らはこの技術で作る…