三井住友FGにも責任、踏み込んだ金融庁 利益優先の姿勢を問題視
小出大貴 山本恭介 稲垣千駿
「相場操縦事案に関して、三井住友フィナンシャルグループ(FG)のSMBC日興証券に対する経営管理について改善すべき点が認められる」
日興による株価操作事件で金融庁は7日、日興への行政処分にとどまらず、親会社の三井住友FGにも、重い処分である改善措置命令を出した。金融庁は事件の根底に、日興の利益優先で法令順守を軽んじる姿勢と、三井住友FGの監督の不十分さがあったとみている。
事件で明らかになったのは、日興が利益を稼ぎ出す現場を強化してきた一方、それを制御するコンプライアンス部門の構築をおろそかにしていたことだ。
日興が設けた弁護士からなる調査委員会の調査によると、金融庁の処分の対象となったブロックオファー取引を担う部門では近年、外部人材の登用などが進み、体制が拡大した。ところが、コンプライアンス(法令や社会規範の順守)を担う売買管理部門には現場の仕事を熟知し、厳しく意見できる人材が不足。人員も足りず、異常な取引の審査処理を1人で1日3千~5千件こなす必要があったという。
管理部門の社員は調査に対し…

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