「10年後の私へ」に返事を書いた日 17歳で手足の自由を失って今
2011年1月22日、高橋尚子さん(29)は交通事故に遭った。
当時17歳で、熊本市内の高校に通う3年生。
卓球に打ち込んでいて、県高校総体で優勝するほどの実力だった。スポーツ推薦での大学進学も決まっていた。
事故は、東京で開催された全日本選手権の帰り道、熊本空港から寮に向かう途中で起こった。
乗っていた車とトラックが交差点で衝突、首にひどいダメージを負った。
ドクターヘリで福岡県内の病院へ搬送され、手術は5時間に及んだ。
そのころの日々の出来事や思いを、父親がメモに残していた。
【1月22日】
「尚子が事故に遭いました……」と18時半くらいに卓球部の監督から電話がある。
【1月23日】
ヘリで熊本から福岡の病院へ。手術。
主治医から手術内容の説明があり「もう歩くのは無理です。車いすでの自立を目指してリハビリに専念しましょう」と言われた。
覚悟はしていたけど、あまりにも辛(つら)くて苦しい宣告だった。
【1月27日】
尚子の左手小指が壊死(えし)していると知らされる。
なんで小指まで……この怒りはどこにぶつけたら良いのだろう。悔しくてたまらない。
中3で書いた「10年後の私へ」
事故から10年以上が経った昨年、尚子さんは中学校の卒業文集に目を通した。
自らが書いた「10年後の私へ」には、こうあった。
◇
あなたは今、幸せに暮らしていますか?
夢が実現できてもできなくて…