天国の水木しげる、ウクライナ侵攻に「馬鹿だなあ」? 調布で記念展

狩野浩平
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 「ゲゲゲの鬼太郎」で知られる漫画家、水木しげるの生誕100周年を記念した展示会が8日、調布駅近くの東京都調布市の市文化会館たづくりで始まった。水木は戦争体験者で、今回のテーマは戦争と平和。資料約130点が展示されている。

 水木は1959年に調布に移り住み、2015年に亡くなるまで住んでいた。妖怪漫画で知られるが、太平洋戦争に従軍して空爆で左腕を失っており、自らの戦争体験をもとにした作品もある。

構想ノート初公開、そこに決意の言葉が

 今回は、戦争に関する作品「総員玉砕せよ!」の構想ノートが初めて一般公開された。「南海の孤島の一角、聖ジョージ岬で行われた殺りくの記録は、ここの石と木だけが知っている。今ここに書きとどめなければだれも知らない間に葬り去られるであろう」。作中にはない「プロローグ」の言葉として、執筆に向けた決意がつづられている。

 会場を訪れた市内の会社員、藤沼寿美(かずみ)さん(59)は「水木さんとは街で会ったこともあり、身近に感じていたが、すごい戦争体験をされた方。改めて戦争は人を傷つけるのだと感じた」と話す。

 水木の娘の原口尚子さんは、「父は反戦を声高に言わず、体験を淡々と描いた作品から感じてほしいと言っていた。ロシアのウクライナ侵攻が続くが、天国で『同じことを繰り返して馬鹿だなあ』と言っていると思う。今だからこそ見てほしい」と話す。

 無料で、水木の命日の11月30日まで。11月19~30日には、水木をしのぶ「ゲゲゲ忌」とし、スタンプラリーやアニメ上映会などが開かれる予定。(狩野浩平)

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