ふるさと納税見込み39分の1 復帰の奈半利、返礼品業者の本音は
ふるさと納税を巡り、職員が逮捕・起訴され、返礼品の基準違反で制度から2年間除外された高知県奈半利町が、10月から制度に復帰した。町は返礼品は「寄付額の3割以下の地場産品」という基準の厳守を呼びかける。バブルを経験し、空白の2年を経て再び参加する町内の業者に、「本音」を聞いた。
ドライフルーツのパウンドケーキが評判の洋菓子店「気ままスイーツ甘音(あまね)」。店主の中島沙織さん(38)は2015年、ふるさと納税の返礼品と宅配ケーキを専門に扱う店舗を持たない業態で事業を始めた。町が集めた寄付額は10億円を超え、右肩上がりの時期だった。
作ったのはパウンドケーキばかり
店舗開業の資金集めのつもりで参入したが、当初から発送が追いつかなくなるほど忙しかった。町の寄付額が全国9位の39億円に達した17年に念願の店舗をオープンした。「忙しすぎて新作ができなかった。返礼品用のパウンドケーキばかり作った」と振り返る。
返礼品バブルの「崩壊」はじきに訪れた。過度な返礼品競争を抑制しようと、総務省が指定制度を導入し、「返礼品は寄付額の3割以内」といった基準が厳格になった19年6月ごろには、中島さんも危機感を覚えていた。
「ばくちみたいに始める人が多かった。いつか終わると思っていた」
大手スーパーなどと取引を始…