第1回習近平氏の腹心、消えた更迭人事 上海で芽生えた「1強」への不安

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北京=冨名腰隆
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 北京市内の中国共産党内政機関で働く党関係者のもとへ1通のメールが届いたのは、4月下旬のことだった。

 「まもなく発表される人事です。ご承知おきください」

 党中枢に近い知人からだった。

 メールには添付ファイルがあった。党関係者が開くと、党中央の発表であることを示す「中共中央」の赤い題字の下に、1行の人事発令が記されていた。

 「先ごろ、中国共産党中央は、丁薛祥同志が上海市書記に就き、李強同志は職務にあたらないことを決定した」

 上海市トップである市党委員会書記の李強の更迭人事だった。

 この時、上海では新型コロナウイルスの感染により市内全域が都市封鎖ロックダウン)される危機が続いていた。薬や食料すら満足に手に入れられない市民の悲痛な声が広がり、外資を含む企業の活動が極端な制約を受けたことで、中国の国際的なイメージも悪化させた。

連載「上海からの予言 中国共産党大会を前に」

習近平指導部が誇るゼロコロナ政策で、上海は2カ月にもわたってロックダウン(都市封鎖)されました。市民だけでなく、中国共産党高官や党官僚たちの運命をも大きく変えた一連の出来事は、「一強体制」が強まる中国の行く末に警鐘を鳴らしているようでもあります。16日から始まる中国共産党大会を前に、現地から報告します。

 それだけではない。

 李は4月11日、激励のため住宅地を視察。そこで市民から「何とかしてほしい」と、激しい口調で直談判される動画が、SNSに広がった。

 国営メディア記者によると、李の意向で事前に準備された視察場所以外に立ち寄ったため、起きたハプニングだったという。

党の威信に関わる大問題 それでも…

 政治家が遊説などで有権者と…

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    江藤名保子
    (学習院大学法学部教授=現代中国政治)
    2022年10月13日18時36分 投稿
    【視点】

    この記事が示唆するのは、習氏が「关系(人間関係)」を重視するならば共産党は執政能力を落としていく、という悲観的ながら当然の見通しです。経済減速や米中対立などの課題が山積するにもかかわらず、能力重視の人事が行われないならば、その結果は中国自身

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    坂尻信義
    (朝日新聞編集委員=国際政治)
    2022年10月13日16時11分 投稿
    【視点】

    中国共産党大会で注目されるのは、なんといっても人事、それに、党規約がどう書き換えられるのか、ではないでしょうか。そのなかで今回は、首相に誰が就くのか、いまだにはっきりしていないという、これまでになかった異例の事態です。 歴代の首相を振