顧問は怒り、生徒の顔を殴った 続く部活動の体罰 根絶に必要なこと

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 竹刀で部員ののどを突くなどして暴行容疑で逮捕。体罰をして部の顧問を外されたのにまた体罰――。学校の部活動の顧問らによる体罰が各地で続々と表面化している。大阪市立桜宮高校で顧問から暴行を受けたバスケットボール部員が自殺してから、まもなく10年。根絶に向けてどんな取り組みが必要なのか。

 兵庫県姫路市の私立姫路女学院高校は今月3日に記者会見を開き、ソフトボール部顧問の40代男性教諭による体罰があったとして謝罪した。9月下旬、部員の女子生徒(1年)が大会でユニホームを忘れたことに腹を立て、平手で左ほおを殴った。同校への保護者からの連絡では、生徒は口を開けにくくなり、あごが外れた外傷性開口障害と診断された。全治1カ月という。

 9月27日には長崎県教育委員会が、諫早市立中学校の20代男性教諭を停職1カ月の懲戒処分にしたと発表。教諭は女子バレー部の顧問だった3月、部活動中の生徒数人にボールを顔に押し当てるなどの体罰をしたとして文書訓告を受け、顧問を外れた。だが7月、担当する体育の授業を受けていたバレー部員1人の脇腹を蹴ったという。男性は4月から1年間かけて実施される「再発防止研修」を受講中だった。県と市の教委によると、2度目の体罰までに校長による6回の個人面談を受けていた。専門家による外部研修も受講予定だったという。

記事後半では、体罰を防ぐための様々な取り組みを紹介しています。日体大では部活指導者らの意識を変えるための研修が続いており、今年は12月に開催されます。部活での事件事故の遺族に話を聞く研修で、一般参加も可能です。

パイプ椅子を投げ、胸ぐらをつかむ

 このほか、岐阜県教育委員会…

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    島沢優子
    (ジャーナリスト・チームコンサルタント)
    2022年10月12日12時41分 投稿
    【視点】

     数か月前。ある競技の指導者から「益子さんの活動が取り上げられた番組を観たコーチがとても感動して、暴力も文句を言うのも一切やめたと言っている。取材してみて」と言われ新幹線に乗って会いに行った。ところが、そのコーチは「番組を観たからじゃありま

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    中小路徹
    (朝日新聞編集委員=スポーツと社会)
    2022年10月12日10時11分 投稿
    【解説】

     スポーツの暴力的指導についての統計的な現在地は、よくわかりません。  取材を続けてきた肌感覚としては、減っています。長らくスポーツ界で指導の一環として容認されてきた「愛の鞭」は暴力であり、容認してはいけない、という認識は、現場にそれなり