「立たない立ち飲みバル」ってなに? 車椅子女子が企画に込めた願い
5歳から車椅子生活をしている牧野美保さん、34歳。大阪市のフランス料理店で接客の仕事をしたり、ネットで様々なことにチャレンジする姿を発信したりしています。そんな彼女が10月23日、「立たない立ち飲みバル」というイベントを開きます。それ、何? 理解していただくため、まずは彼女の半生から。
大阪府吹田市生まれ、3人きょうだいの末っ子。元気いっぱいに育った。
運命の日は、5歳の秋。兄と姉が通う小学校の運動会の日だった。
家族で応援に行くのがうれしくて、家中を走り回っていた。玄関で転んで腰を打つ。へっちゃらや。
小学校まで走って行ったら、足がしびれてきた。立てなくなって病院へ。
「横断性脊髄(せきずい)炎」
こう診断された。原因は分からない。車椅子生活が始まる。でも牧野さんから明るさは消えなかった。
小学生になる。教師もクラスメートも、階段の上り下りなどで助けてくれた。体育の授業は車椅子で走り、回転する大縄跳びの中を、車椅子で駆け抜けた。
アナウンサーにあこがれた。人前で車椅子、はアカンやろうなあ。声だけなら、ええやろ。小学校の卒業文集に、こう書いた。
「声優になりたい」
中学は吹奏楽部に入り、クラリネットを吹いた。授業での教室移動、楽器の整理整頓などで、牧野さんは友だちに助けられた。
みんなへの感謝で、牧野さんの心はいっぱい。できるだけ手を借りずに動かなくては、まわりに申し訳ない。それと、親にお金の心配はさせたくない。だから牧野さんは決心した。
〈高校は、エレベーターのあ…