熱さにとりつかれた「サ守」 理想のサウナを気付かせた常連客の一言

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贄川俊
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 若い世代を中心にサウナ人気が高まるなか、老舗の温浴施設が置き始めた役職が注目を集めている。

 その名は「サ守(もり)(サウナ守)」。温泉地で湯加減を調整する湯守にちなんだもので、サウナ室を快適に保つのが役目だ。

 「熱いですか」「決して、無理はしないでくださいね」

 埼玉県草加市にある草加健康センター。サウナ室の統括責任者・佐々木厚さん(55)が「サ守」を名乗り始めたのは、2021年の初めごろからだ。

体感温度、壁で確認

 佐々木さんの勤務は、利用客が増える夕方から深夜までだ。出勤してまず向かうのはサウナ室。一般的なものより大きい40平方メートルあり、一度に35人ほどが入れる。

 客層を見ながら声かけをし、温度計や湿度計を確認。最後に部屋の一番奥にある珪藻土(けいそうど)でできたタイル壁を手のひらでさわる。壁からの熱がどれだけあるかで、数字には表れない体感温度に差が出るのだという。壁がぬるければ、一気にヒーターの温度を上げて暖める。

 草加健康センターの男性用サウナ室は室温96度、湿度28%と高めの温度が基本の設定だ。高温にした石にアロマ水をかけて室内を熱くするロウリュや室内に敷きつめたタオルマットの交換も含めて、佐々木さんは1時間に数回はサウナ室の状態を見てまわる。

 室内の変化を読み取り、2基のヒーターと加湿器、ドアなどの開け閉めですぐに調整する。ヒーターはどちらも30平方メートル用で、より広いサウナ室に対応できるほどの出力があるため、暖めやすい。

 サウナ室は浴室と別棟にあるため、天候や外気温の影響をうけやすいというデメリットがある。夏場は温度が上がりやすく、冬場は逆に上がりにくくなる。どうしても設定通りにいかない時があるという。

夏はカラッと、冬は芯から

 佐々木さんは、そこを逆手に…

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