AIの契約書チェックは違法か? 法務省の見解が波紋

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松浦新
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 AI(人工知能)による法律知識の活用は弁護士法の取り締まり対象か――。企業の契約書のチェックでも広がるAIの活用に、法務省が弁護士と弁護士法人以外による法律事務を禁じた「弁護士法72条違反」の可能性を指摘し、波紋が広がっている。サービスを提供する4社は業界団体を設立し、理解を求める活動を始めたが、関係者からは「弁護士法の抜け道にならない対策が必要」との声もあがっている。

 このサービスは、利用者がクラウド上のシステムにアップロードした契約書をコンピューターが分析し、企業にとって不利になる契約上の間違いや漏れなどを見つけ、修正案なども提示する。5年ほど前から提供する企業が設立され、すでに大企業から中小企業まで数千社が利用しているという。

 業界団体は、2017年に起業した「リーガルフォース」(角田望社長)など、いずれも弁護士が社長を務める株式会社4社が中心になって構成。一般社団法人「AI・契約レビューテクノロジー協会」を9月、東京都江東区に設立した。代表理事には法務分野のAI活用に詳しい松尾剛行(たかゆき)弁護士が就いた。

「違反の可能性がある」

 きっかけは、新規事業の適法性を確認する事業をになう経済産業省への中小企業からの「照会」だった。内容は、利用者がアップロードした契約書をAIが分析して、「法的観点から有利であるか不利であるか等の審査結果」を示すといった事業を始めることが、法的に問題ないかを確かめるものだった。

 その回答を6月に示したのが、弁護士法を所管する法務省で、同法に「違反すると評価される可能性があると考えられる」と結論づけた。理由として、法的観点からの①有利不利の表示②修正を検討すべき箇所と修正案の表示③リスクの数値化――などのサービスについて、「法律上の専門知識に基づいて法律的見解を述べるものに当たり得る」ことを挙げた。

 弁護士法72条は、弁護士や…

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    千正康裕
    (株式会社千正組代表・元厚労省官僚)
    2022年10月13日8時11分 投稿
    【視点】

    技術の革新によって、法律ができた時に想定していなかったサービスが世に出てくるケースが増えている。 規制がないがしろにされて、サービスの利用者などに想定外の不利益が及ぶことも当然問題であるが、古い規制のおかげで利便性が高まるサービスの発