【そもそも解説】マイナ保険証一本化 今後は免許証も?リスクは?
政府は2024年秋に現行の健康保険証を廃止し、すでに利用が始まっているマイナンバーカードでの「マイナ保険証」に一本化する方針です。そもそもマイナンバーカードとは何なのか、なぜ政府は普及を急ぐのでしょうか。
Q マイナンバーカードってそもそも何なの?
A もともと2016年から「マイナンバー制度」が始まった。日本に住む一人ひとりに12桁(けた)のマイナンバー(社会保障・税番号)を割り振(ふ)るものだ。
制度の趣旨(しゅし)は、国や自治体などが持っている社会保障、税、災害対策分野の個人情報をこの番号と結びつけることで、公平に税を集め、社会保障のお金を配るのに役立てるというものだ。行政の効率化もできるとされているんだ。
Q それでカードは制度とどう関係あるの?
A マイナンバーカードも制度にあわせて16年から交付が始まった。カードには番号だけではなく氏名、生年月日、住所、顔写真などが載(の)っている。ただマイナンバー制度にカードの存在自体が必須(ひっす)というわけではないんだ。カードはあくまで番号が記載された本人確認書類であって、交付を申請するかどうかは本人の意思に委ねられている。
Q でも政府はカードの普及(ふきゅう)を目標にしているよ。
A そうだね。カードの交付率はずっと低迷していたんだけど、20年9月に当時の菅義偉(すがよしひで)首相が「23年3月末までにほぼ全国民に行き渡ることを目指す」と表明したんだ。その時の交付率は2割ほどで、ちょうど新型コロナ禍(か)で行政のデジタル化の遅れが露呈した時期だね。21年9月にはカードの普及と利活用の促進を担うデジタル庁が設置された。
Q デジタル化の遅れとカードは関係あるの?
A カードにはICチップがあるんだけど、その中には「電子証明書」が格納されている。その電子証明書を使うことで、オンラインでの本人確認ができるんだ。コンビニでの住民票の写しや印鑑(いんかん)登録証明書の取得、確定申告などの電子申請サービスなどでこの仕組みが活用されている。
ふるさと納税の手続きもカードがあればスマホで簡単にできる。今後、行政手続きのオンライン化を進める上で、政府はカードを「デジタル社会の基盤(きばん)」と位置づけて普及に努めている。
Q それでカードの普及は進んでいるの?
A 政府は、カード取得者らに最大2万円分のポイントを与える「マイナポイント第2弾」で普及促進を図ってきた。申請件数は1月15日時点で人口の66・8%にあたる約8410万人となり、運転免許証の取得者数(約8200万人)を超えた。ただ申請から交付まではタイムラグがあるため、実際の交付率は昨年12月末時点で57・1%だ。
Q 今後、カードは便利になっていくのかな。
A 政府は将来像として「カード1枚で様々なことが可能な社会」を掲げている。カードがあれば2月には転出届がオンラインで出せるようになったり、5月には基本ソフト(OS)がアンドロイドのスマホにカード機能を搭載(とうさい)したりできるようになる。民間サービスでの活用も進めていくとしている。
今回、健康保険証の廃止(はいし)が発表されたけど、マイナンバーカードを保険証として利用するだけでなく、25年3月末までに運転免許証、25年度に在留カードとも一体化させることを計画している。さらに河野太郎(こうのたろう)デジタル相は免許証との一体化を前倒しすることを検討しているとも述べている。
ただ、あくまでカードの取得…