競技を始める年齢が低いフィギュアスケートは、「英才教育」の代表格とされる。幼い頃から才能を伸ばしつつ、子どもの成長を守るために求められることは何か。日本スケート連盟の伊東秀仁副会長と竹内洋輔強化部長が、取材に応じた。
――幼い時に有望でも、成長とともにパフォーマンスが落ちてしまうケースがあります。
竹内強化部長 特に女子の場合は、10歳前後から10代後半にかけて第二次性徴がある。骨盤が広くなって、体脂肪率が増える傾向にある。ジャンプが跳びにくくなったり、回転がしにくくなったりという影響があります。それに対してしっかりとアプローチをしないといけない。
――体つきが変化する中、元の体形を維持しようと「食べるな」という指導もあったと聞きます。
竹内 たしかに、現場の指導者から求められることもあります。「このぐらいまで体脂肪率を落としたい」と。
ただ、食べないと、パフォーマンスと密接に関係している体温が上がりません。食べるもの、量、タイミングを選んで調整することが重要です。
伊東副会長 摂食障害だったことを取材に告白する、元選手もいます。けれども、その人たちは「復活」できたからこそ話すことができた。裏には、そうはいかなかった人もいるはずです。当たり前ですが、食べて良いわけです。食は生活の基本だし、生きている中にスポーツがあるわけですから。
――連盟として、食について指導者にはどのようにアプローチをしているのでしょうか。
竹内 フィギュアスケートの指導者が所属する、「日本フィギュアスケーティングインストラクター協会」という団体があります。そこで2年に1回の講習をしています。
また、各地域にこちらから直接出向くことや、有望な若手選手が集まる合宿の際に技術的な面だけでなく、栄養や医学面についても情報共有をしています。それらの講習の際には、親にも参加してもらっています。
2017年の調査では、約4…
- 【提案】
心と体を壊さないために、健全な成長を損なわないために、私はスポーツに練習(時間)制限を設けるべきだと思っています。米国大学では週に20時間。そこでいかに伸びるかで勝負しています。それでも、素晴らしいアスリート(しかもスポーツ以外でも成功で

フィギュアスケート特集
グランプリファイナルの結果や、注目選手の最新情報はこちらから[もっと見る]