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介護に生かす「昭和クイズ本」出版 480問、思い出話に花が咲く?

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堤恭太
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 阪神タイガースが優勝した時にファンが飛び込んだ川の名は? こんな昭和時代の時事問題のクイズ集「会話に花が咲く クイズ昭和物語」(みらいパブリッシング)を、千葉県館山市介護施設職員が出版した。介護施設の入所者との会話に生かしてもらいたい考えだ。

 冒頭の設問の答えは、「道頓堀川」。入所者が現役だった1985年、阪神の21年ぶりセ・リーグ優勝に狂喜したファンが次々と飛び込んだ姿は有名だ。

 本には「TV・CM」「ニュース」「ファッション」などの7分野で、時事問題のクイズ480問が掲載されている。

 著者は、「館山ケアセンター夢くらぶ」で働く看護師・認定医療コーディネーターの安部満さん(49)。きっかけになったのは、ある入所者の女性との会話だった。

 「もう一度旅行で行きたい所はどこですか」

 「北海道です」

 「そこで何を食べたんですか」

 「親子丼

 「名物なんですか」

 「違う」

 夫が「どこの食堂にもあって迷わずに注文できる」と、どこに旅行に行っても親子丼を注文したからという。

 女性が寝たきりになり、家族が最後に何か食べさせようと思った時に安部さんは親子丼を思い出した。女性は3口ほど食べて「ありがとう」と言って3、4日後に亡くなった。家族から「親子丼の話は聞いたことがなかった。よく引き出してくれた」と感謝された。

 思い出を尋ねることで人生を聞くことができる。これをクイズに発展させた。会話にクイズを取り入れて、そこから思い出話に広げる狙いだ。

 過去を思い出すことで脳は活性化し、知識を再確認することで若返る。クイズなら介護現場での時間調整も楽だ――。図書館に通って、時事問題の本や年表を調べて昭和時代を掘り起こした。

 本の最後には、「MYクイズ」があり、「好きな食べ物は」「生まれ変わったらどの職業に就きたいですか」など、個人に聞く質問が20問並ぶ。

 安部さんは「MYクイズが一番大事なんです。相手が大切にしていることや思いを聞いてあげることで信頼関係ができる。時事クイズはそのためのツール。施設だけでなく家庭でも活用してもらえれば」と話す。

 128ページ。1320円(税込み)。売り上げの一部は公益社団法人「難病の子どもとその家族へ夢を」に寄付するという。(堤恭太)

■クイズの一例…

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