岸田文雄首相が掲げた防衛力強化を考える有識者会議は次回の第2回会合で、先端技術研究のあり方を議論する見通しだ。AI(人工知能)やドローンなど先端技術の軍事利用が進んでいることが背景にある。これに対し、学術界には、どこまで研究の自由を確保できるかといった警戒感が根強い。
「官民の研究開発など縦割りを打破する」。首相は9月30日に開かれた「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」の初会合でこう語った。
会議のメンバーには、上山隆大・総合科学技術・イノベーション会議議員や橋本和仁・科学技術振興機構理事長ら科学技術政策の専門家も名を連ねる。初会合では「技術の民生用・防衛用という区別は無意味だ」「防衛力の強化につながる仕組みをつくることが大事だ」といった意見が出た。
民生用の技術を軍事に転用する流れは、すでに世界の潮流になっている。特に軍事的に台頭する中国は2015年に「軍民融合」を国家戦略化し、宇宙、サイバー、AIなどへの投資を急増させた。
米英も危機感を強めて対抗し…